インデックス投資ナイト2021 スピンオフ企画 視聴レポート

昨日はオンライン配信となったインデックス投資ナイト2021 スピンオフ企画を視聴していました。
全4部、約2時間の会の中ではタイトル通りインデックス投資家の興味を引く話題が多く組み込まれた会であったと思います。

今回はその感想と、視聴を通じて考えさせられたことを少し書いていきます。

インデックス投資ナイト

インデックス投資ナイトは2008年から続いているインデックス投資家たちのイベントです。
過去にも取り上げたことのある「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year(FoY)」の表彰式なんかも兼ねて毎年1回のペースで開催されてきました。

しかしながら、人が大勢集まるイベントということもあって昨年は中止になっており、今年もFoYの表彰式自体はオンラインで行われるなど、今年もインデックス投資ナイトは無いのかな…という様相でした。

が、みんなでワイワイとはいかないものの、座談会を作りつつ、それをオンライン配信する形で今回このスピンオフ企画が実現しました。

当日は日中に予定があったので参加できるか微妙でしたが、思ったより早く帰ってこれたこともあって最初から全て視聴することができました。
オンライン化に伴い、直前でもクレジットカードさえあれば入場できるため、このあたりはオンライン化の恩恵だなと思いました。

特に、関東在住でない方々も視聴できることもあり、その点を好感するコメントも多く見られたように思います。

それでは、全4部からなる各コンテンツの感想と、そこで考えたことをつらつら書き留めてみます。

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第1部 『女性投資家座談会』

まず最初は女性投資家座談会と称して、4名の女性ブロガーの座談会でした。テーマは、

コロナの際にどう動いたのか?どう思ったのか?投資を始めたきっかけや投資手法は?仕事や子育てと投資の両立は?など、色々な話題について女性投資家の皆さんに語って頂きます。

というものでした。

登壇者の方々

第1部では以下の方々が登壇されました。

皆さん投資ブロガー…と思いきやももんがさんは猫ブロガーでした笑

あと個人なので皆さん仮面付きで登壇されていましたが、その絵面が少し面白かったです。(「怪しい教団じゃないよ」っていうコメント含めて)

コロナの際にどう動いたのか?

まず最初の話題として「コロナショックはどうだったか?」というところでしたが、登壇された皆さんは特段何のアクションもせず、いつも通り積立投資をやっていた、という感じでした。

実際売りたくなった、という声も一部ありましたが、コロナによるリモートワーク移行でそれどころではなかったとか、様子を見てたら株価がスルスルと戻っていったとか、そういったことのようでしたね。

私自身も似たようなもので、3月の急落を受けてどうしようかと思っていたら4月には下げ止まり、二番底があるとかないとか言われる中で現金ポジションを大事にしていたら結果的に何もなく終わった、という感じでした。

ありがたい結末ではありましたが、ほんとに「あっという間に戻った」というのが正直なところなので、リーマンショックみたいに長い時間でズルズルと落ちていくケースだったらどうだったのか、については自分も課題が残りました。

オールカントリー1本化

第4部の質問でも出ていましたが、座談会の中で「オールカントリーに移行した」という話がありました。

オールカントリーことeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)ですが、FoY 2019/2020で1位となっている今最も人気のあるインデックス投資信託のひとつと呼べるものです。

今は米国株が好調ではありますが、2000年初頭に新興国が好調だったように、これから長期に渡って米国が有利であり続けるとも限りません。
そうしたとき、米国はもちろん全世界の株式を対象として、時価総額加重で投資し続けてくれるこの商品はある意味「株式インデックス投資の最終解」とも言っても過言ではないでしょう。

そんな便利なオールカントリーですから、これまでのファンドを整理し、オールカントリーに1本化したいと考えるのも当然で、実際にそれをやった人もいるということですね。

そうした「1本化」のメリットとしては、「リスク資産の管理が楽になる」ということに尽きます。
投資をする上では何らかのリスク資産に身を委ねる必要がありますが、それを全世界の動向に追従してくれるこのオールカントリーに任せるというのはとてもシンプルで扱いやすい手法です。

第1部を通じて改めて感じたのが、「投資を好きな人ばかりではない」ということです。
質問でも出ていましたが、インデックスファンドを切り替える際、計算上合理的なのはバイ・アンド・ホールドであることが多いです。
しかし、合理的だからといって過去のファンドを持ち続けていてはどんどんポートフォリオが複雑になっていき、結局自分の資産がどういう状態にあるのか?が把握しづらくなる面があるでしょう。

そうであるならば、ここで言うようにいいものに1本化していくのはとても素直なアプローチです。
それによって多少リターンが悪化する面はあると思いますが、投資マニアでない限り、信託報酬の0.01%で一喜一憂することはないでしょうから、多少のリターンを差し出して、手間を引き取ってもらうというスタンスも十分アリだと感じました。

第2部 『東証が変わる!インデックスはどうなるのか?』

さて、続いては第1部とは打って変わってガチな話題です。

2022年4月に東証の市場再編が行われます。第2部では市場再編の概要やTOPIXなどの指数がどのように変わるのか整理した上で、運用会社や個人投資家への影響などを考察していきます。

2022年4月に東証の市場再編が行われ、新区分に変わっていくことは過去にも取り上げましたが、専門家を交えた座談会として「どうなるのか?」ということを少し専門的に話していました。

登壇者の方々

第2部の登壇者はこちら。かっちりした肩書であることもあり、投資マニアには垂涎の、聴き応えのあるセッションでした。

  • 島田知保さん(月刊投資信託事情編集長)
  • 代田秀雄さん(三菱UFJ国際投信常務取締役)
  • セロンさん

新TOPIXはどうなるのか?

まず最初に知らない人もいる点で、現時点で決まっていることを整理されていました。

現在の東証1部/東証2部/JASDAQ/マザーズの4市場からプライム/スタンダード/グロースの3市場に変わっていくこと、その中で東証1部全銘柄の時価総額加重として算出されているTOPIXが3市場の大型株から新しく算出されていくということが説明されていました。

この新しいTOPIXは現在のTOPIXと比較すると、元々時価総額加重されていることもあり99%が同じものになると言われていましたが、小型株が一部除かれる見通しであることから、少しばかり性格が変わることにも触れられていました。

現TOPIXから新TOPIXへの移行にあたり、除かれる銘柄への影響や指数としての連続性を保つ観点でそれなりに長い期間をかけて実体の整理が進むとされています。
大筋としてほとんど同じものであろうということと、「日本を代表する株式指数」としての位置づけも変わらないそうなので個人投資家としてはあまり気にする必要はないのかもしれませんが、やはり動きが気になるところですね。

あと、月刊投資信託事情編集長の島田さんがコメントの中で「皆さん、JPX400って覚えてます?w」みたいな言い方をしたのが地味に面白かったです笑
半分笑い話ではありますが、意欲的に新設したはずのJPX400がほとんど市場に受け入れられていないという現実は、新TOPIXの姿を考えるにあたり、無視できない事実だったんだろうなと感じました。

JPX400は個人的によくできた組成方針を持つ指数だと思っていましたが、その良し悪しがどうあろうと、それが受け入れられるかどうかにはまだ隔たりがあるということですね。JPX400について知りたい方はこのあたりもどうぞ。

インデックスファンド向けとして、アクティブファンド向けとして

聞いていてなるほどなと思ったのが、三菱UFJ国際投信の代田さんが言っていた、「新TOPIXの良し悪しはインデックスファンドの指数として見るか、アクティブファンドの指数として見るかで変わってくる」という話が興味深かったです。

先ほど新TOPIXの位置付けについて「日本を代表する株式指数」であることに変わりはないと触れましたが、私はインデックスというものを「その対象の動きを抽象化するもの」として捉えていました。なので、「日本を代表する株式指数」なのであれば、日本市場の動きを映すべきものであるという考えです。だからこそ、日本に投資する意味でのTOPIXファンドが成り立つし、そういう存在であるのが自然だと思っていました。

なので、新TOPIXを引き続き時価総額加重で出すことにしたり、指数の連続性を保とうとしたりなんてするのは真っ当な姿勢であると感じたんですが、興味深かったのはその先のアクティブな視点で見たときの良し悪しでした。

今のTOPIXは日本の市場を東証1部で切り取り、新しいTOPIXは東証全体の大型株で切り取ろうとしているわけですが、そういう考えなら「もっといい切り取り方はないのか?」という発想も出てきます。
元々、日本の市場を映していることの正解はないわけなので、今の切り取り方に囚われることなく、よりよい切り取りを目指していく、それも恣意的な試みではなく、公正で検証可能な、何か新しい手法を模索しているということを運用会社の役員から聞けたのはなかなか新鮮だったなと思いました。

現在はMSCIであったり、S&Pなど専門の指数開発会社のものを借りてファンドを組成するのが主流ですが、これからはよりよい指数そのものを開発する競争にも踏み出していくのでしょうか。
一般論として考えるのではあれば「餅は餅屋」の考えで借りてきたほうが合理的な気もしますが、低コスト化による競争が一段落したこともあり、次なるチャレンジとして模索する価値はありそうですね。

よりよい市場を目指して

2022年4月に向けて着々と進んでいる東証再編ですが、そう易々と実行されるものではなく、非常に意欲的な取り組みです。

日本市場は欧米などに比べてガバナンスが弱いと言われていたり、上位市場である東証1部の選別機能が働いていなかったりと、様々な課題を抱えていました。
そうした様々な課題を踏まえ、まさに肝いり中の肝いりで実行されるこの市場再編ですが、単なる区分の違いだけでなく、この再編を通じてじわじわと、日本市場によい効果を与えていく狙いがあります。

第1部の皆さんが口を揃えて確定拠出年金だったりの入り口を口にされていたように、NISAなどの制度と合わせ、これからの日本人はより自然に投資に向き合っていくことになります。
そうして向き合う先として最も身近なこの日本市場が長く時間がかかろうとも、よりよいフィールドになっていくことを望みます。

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第3部 『インデックス投資のゴールはどこにあるのか? ~FIREについて語り尽くす~ 』

続いては、おそらく視聴者にとって関心も高かったであろうFIREに関する座談会でした。

FIRE(Financial Independence, Retire Early)について盛んに議論がされているのを最近多く目にします。
インデックス投資は長い旅。幸せな人生を送るためにどのような目標設定をして、何を目標に投資を続けていけばいいのでしょうか?
資産額を積上げるにあたって、手段としての投資においては何が大切なのでしょうか?

有識者とFIRE実現/実現可能なインデックス投資家が、資産運用とその先にあるライフスタイルの考えについて語り尽くします。

登壇した方々は既にFIREしていたり、しようと思えばできたり、という方々でしたが、全体的に冷静な受け止めだったことが印象的でした。

登壇者の方々

第3部はこちら。

皆さんインデックス投資界隈では有名人ですね。

“FIREブーム” をどう思うか?

全体的に、昨今のFIREブームには否定的な見方をしているようなコメントがありました。

FIについては望ましいものだし、そこに向けて投資と向き合っていくのは良いことだとしつつも、じゃあREなのかというとそこは直結しないというところですね。FIとREは別物であって、FIREとして一括にするものではないと。

このあたりはやはり余裕のあるコメントが多く、巷で語られることの多い「一刻も早くFIREを達成して、このつらい仕事、ラットレースから脱したい!」みたいなモチベーションに懐疑的なようでしたね。

中でも、FIREを急ぐあまり人的資本への投資が疎かになり、結果的に遠回りをしているのではないかというような意見もあり、和やかな雰囲気でありながらグサリと本質をついていくようなやりとりでした。

FIREして、どうする?

このセッションを聞いていて、登壇者の方々が昨今のFIREブームに懐疑的なところが、やはり「FIREして、どうする?」というところにあるように思いました。
節約して投資して、その先にあるのが社会から脱出するかのようなFIREで、それは少し寂しい、もったいないのではないかというような感覚でしょうか。

登壇者の方々はそもそも働くということに好意的で、「FIによって働くことがもっと楽に、楽しくなる」というような話をしていたのが印象的でした。
巷で言われているような「ラットレース」は要するに「あくせく働く」というような話ですが、そういったことが必要なくなり、自分にとって楽しい仕事だけをやっていけるようになるということですね。

典型的なFIRE論としては、「働くことから開放され、気ままに行きていく」というものですが、登壇された方々の話を聞いていると、給料をもらうために働くことから何か自分のために働く、ライフワークへの移行ができているのではないかとぼんやりと思いました。

FIREのRはリタイアですが、そういったことを考えると、リタイアではなく「経済的自立によって、次のライフステージに進む」ようなことを掲げるといいのかもしれないですね。

このあたりは過去に触れたケインズのエッセイでも言われていたことのように思いました。

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第4部 『なんでも聞いてみよう!』

最後は視聴者からの質問に答えていくフリートークでした。
色々答えられていましたが、覚えているものをいくつか。

Q. 高い買い物を奥さんに認めてもらうには?

高級車か高級時計を買うという話だったとおもいますが、それを認めてもらうにはどうしたらいいか?という質問でした。

これに対するWATANKOさんの答えが「それと同じ額を奥さんにプレゼントしなさい」と即答していたのは秀逸だなーと思いました。確かにぐうの根も出ない。恐れ入ります。

Q. なぜオールカントリーに1本化?

第1部で「オールカントリーに1本化」という話が出ていましたが、それはなぜか?という質問です。

第1部のところでも書きましたが、「1本化すると楽だから」ということでした。
どこかのセッションでも出てきましたが、「そんなこと考えるよりは日々の生活の充実を考えたほうがよい」っていうこともありますし、自分が楽に向き合い続けられるのが大事ということですね。

元々インデックス投資がそういうスタンスですが、100点を取るのが大事ではなく、80点でもいいから長く続けること、みたいなものを改めて思いました。

まとめ

今回はオンライン開催であったこともあり、気軽に視聴することができましたが、会の雰囲気や話されている内容は硬いものから柔らかいものまで色々な角度で楽しめるものだったと感じました。

オンラインとはいえ、様々な手配や準備があったと思いますし、こうした企画・運営をされた皆さんには改めて頭が下がります。改めて、お疲れさまでした。

実行委員の方々

セロンさん / ybさん / ASKさん / 水瀬ケンイチさん / イーノ・ジュンイチさん / kenzさん

最後に司会のセロンさんが言っていた通り、次はリアル開催できるといいなと思いましたし、そうなったならリアル参加したいなと思います。一方で、今回好感されていたオンラインの要素も引き続き盛り込んでいくといいのかもしれません。

第1部の最後に言われていた「もっと投資のことをみんなに知ってほしい」ということを達成するためにも、今こうして直面した変化をうまく使いながら、よりよい会が続いていってほしいですね。

また次回も楽しみにしています。