高校家庭科の金融教育:参考教材集

別の記事で高校家庭科の金融教育について内容をまとめていますが、そうした高校の金融教育で活用できる教材が各種団体から公開されています。

こちらでは改めて学習内容に関係する教材を、流れに沿ってまとめて紹介していきたいと思います。

主な教材提供者

細かく言えばもっとたくさんありますが、主だった教材は以下から探すとよいでしょう。

総取締としての政府系と、あとは各種金融商品を提供する銀行・証券・保険の業界団体が主にそれぞれのフィールドで教材を提供しています。

それでは、各団体の教材を引用しながら、高校金融教育の流れをおさらいしてみましょう。

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①家計の考え方とその役割

まずは家計そのものの理解に関わる内容です。

こちらは家計のそもそもから見た位置づけという内容ですので、金融庁などお金に関するカバー範囲の広いの政府系の教材が役立ちます。

私たちの生活と金融の働き(金融庁)

平成19年作成で見た目としては少し古い印象がありますが、最も基本的な内容であるだけに内容自体は今でも違和感ありません。

家計とは?という内容から入っているためここで紹介していますが、内容的にはカリキュラム全体をカバーするような内容ですので、ここの流れを1つ授業の流れとしてイメージしてもよいでしょう。

基礎から学べる金融ガイド(金融庁)

こちらもかなり網羅的にまとまっていますが、教材というよりは啓発に向けたパンフレットという作りになっています。こちらは2021年1月発行で、つみたてNISAなども含んでいたりとかなり新しい内容です。

パンフレットらしく、後半では振り込め詐欺に対する注意喚起などもあり、高校の授業とは関係なく大人も一度読んでおくとよさそうな内容が揃っています。

高校生向け授業動画・教員向け解説動画(金融庁)

こちらはどストライクで授業をイメージした動画となります。
授業そのものに使う動画のほか、こうした授業を行う教員に対する啓発の動画もありますので、初めての金融教育で方向性がどうも腹落ちしないという方は一度見ておくとよいかもしれません。

シリーズ教材お金のキホン(全国銀行協会)

こちらはかなりポップな形でお金の勉強をしていく内容になっています。
しかし、高校生向けとしてスムーズな流れで作られていて、理解しやすい構成だと思います。

1-5章の作りで最後に「多重債務と消費者被害」という内容がくるため、実用的な金融教育としても収まりのよい内容です。
ただし、銀行の教材らしく投資や保険の内容は含まれていないので、その部分は別途補う必要があります。

②生活における経済の管理や計画

続いて、リスク対策マネープランニングなどより具体的な内容に入っていきます。

こちらは主に個別の業界団体の教材が役に立ちます。授業で特に取り上げたい内容に応じて、適宜スポット的に活用するとよいでしょう。

君とみらいとライフプラン(生命保険文化センター)
君とみらいとライフプラン(生命保険文化センター) より

こちらではタイトルの通り、ライフプラン全体を順に考えていけるようになっています。
付属のワークシートでライフプランニング表を具体的に書けるようにもなっているので、グループワーク形式の授業が設計できます。

生活設計・マネープランゲーム
生活設計・マネープランゲーム 資料集(全国銀行協会) より

こちらはあくまでゲームであるため、本人の意思ではなく引いたカードに応じたマネープランニングを行っていきます。
しかし、上の画像で引用している通り、イベントごとに計上するお金の水準がかなり現実的に設計されているため「こういう人生を送ったとしたらこれくらいのお金がいるんだ」というのを先回りして理解できるようになっています。
ある程度こなれてきたら、自らの意志でカードを組み合わせることで本当の意味でマネープランニングをすることもできますね。

基本的な授業プランとしては、50分で20-30代の人生をプランニングするものと、100分で20-50代の人生をプランニングするものがあります。

大学生のための人生とお金の知恵(知るぽると)

こちらもライフデザイン向けの教材です。
名前に「大学生のための」とある通り、少し難しめの内容になっているので、高3など大学生が身近に感じられるくらいのタイミングであれば、これであなたもひとり立ちなどとともに活用を考えてもよいでしょう。

後半では市場における需給バランスの話なども出てきますので、公民との関係も考えるとよいかもしれません。

金融クエスト(日本証券業協会)

この金融クエストでは5つのシナリオでお金のことを学ぶことができます。
「金融」という名の通り、企業と社会に目を向けた内容となっており、どちらかといえば社会・公民向けの教材となっています。

5つ目の題材である「将来のために資金を運用しよう!」が家庭科にも関係しますが、内容的に薄いので読み物として、同じく日本証券業協会の投資の時間などを補うとよいでしょう。

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その他リンク集

その他、学習内容とは直結しないものの、教材集として有用なものを以下に列挙しておきます。

また、金融リテラシー・マップについても高校に限らず身に着けるべき知識水準を測るために有用なので見ておくとよいでしょう。

もう1点、「生徒にお金のことを考えさせる」という意味では経済記者が執筆した小説の内容なども参考になるかもしれません。

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まとめ

2022年4月から新しい学習指導要領に則り、高校での金融教育が拡大されますが、新しいカリキュラムを強く意識したものではないにせよ、既に多くの学習教材がインターネット上で手に入るようになっています。

各学校・クラスで特色ある授業を意図する中でも、既にある教材を上手く利用することはできると思いますので、実際に授業で活用したり、授業の設計に役立てるとよいでしょう。

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