配当銘柄を目的に米国株を購入、それも定期的に積立で購入したい場合、どのような手段があり、どの手段が効率的なのか考えます。
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米国株をドルで買う
私の現在のポートフォリオには、高配当狙いの VYM が組み込まれています。
積立購入をしており、年間でおよそ100万円程度積み上がる額をコントロールしていますが、米国株の一種であるためドル決済が必要です。
当然ながら私の手元にあるのは円ですので、どうにかしてドル転しつつ、VYMの購入を行わなければなりません。
手動でやるのであればいくつか手段はありますが、積立ですのでできるだけ労力を抑えていきたいのが心情です。そうしたときに、
- どのようにドル転するか
- どのように米国株を買うか
この2つの観点で手段を調べ、労力を主な観点としつつ、それぞれのメリットを比較してみたいと思います。
結論
先に結論を書いてしまいます。
結論としては「お金をとるか」「労力削減をとるか」の2択です。仮に、年100万円を1ドル110円の世界で投資する場合、以下の選択をすることになります。
- 手数料削減優先
- 年間手数料約10-200円で、手動でドル転、自動的に米国株を買う
- ドル購入、証券口座への入金を毎回手動で行う
- 労力削減優先
- 年間手数料約2500円で、自動的に米国株を買う
- 初回準備以降は手作業が発生しない
いずれもSBI証券を最終的な証券口座とした、SBIグループを連携した仕組みになります。
見て分かる通り、「手動でドル転」という自分の行為にいくらの価値を感じるかということです。仮に年12回積み立てて、積み立て時期に合わせてドル転する場合、1回あたり約180円の節約ということになります。
ちなみに私は手数料を払って手続きフリーとなる後者を選択しました。
米国株の買い方
順序が逆になりますが、結論のわかりやすいこちらから先に考えます。
2020年1月現在、「米国株を定期的に購入したい」かつ「できるだけ労力を抑えたい」と思う場合、選択すべき手段は「SBI証券で 米国株式・ETF定期買付サービス を利用する」こと1択になると思います。
というのも、米国株の定期買付サービスを持っているのがSBI証券しかないからです。
国内株については徐々にそうしたサービスも増えてきていますが、米国株に関してはSBI証券しかありません。
そして、「労力を抑える」上で、定期的な買付が自動化されることは最も重要と言っていい内容です。
そのため、米国株の買い方として定期買付サービスが必須と言ってよく、そしてそのサービスを持っているのがSBI証券だけなので、SBI証券1択であると言えます。
定期買付が必須でない場合
米国株の買い方として「定期買付が必要だからSBI証券1択!」としてしまいましたが、定期買付が不要な場合はどうなるでしょうか。
結論から言えば、そうであっても「SBI証券が十分検討に値する」ことになります。
米国株の買い方として他に重要な点は、
- 買付手数料
- 売買可能銘柄数
などがあります。こうした観点があったとしても、SBI証券は昨今の買付手数料の最低無料化の波に乗っていますし、売買可能銘柄数としても十分な数をラインナップしています。
この観点で最良、という意味では銘柄数で他をリードするマネックス証券に軍配が上がりますが、ほとんどのケースではSBI証券でも買えると思いますので、結果的に差はないということが言えそうです。
ドルの買い方
続いて、ドルの買い方について考えます。
まず、SBI証券で米国株を買うことを前提としない場合、ドルの買い方としては何が重要なのでしょうか。
当然お金の話ですので、為替手数料の話が出てきますし、こちらもやはり労力のことが気になります。それぞれの観点で手段を考えていきます。
為替手数料の話
まずは為替手数料を考えましょう。
為替手数料というのはスプレッドなどとも言われますが、実際に100万円をドル転するケースで考えると以下のような違いになります。ちなみになぜこの4例なのかは後述します。
為替手数料 | 基準レート | ドル購入価格 | 購入ドル | 負担手数料 |
---|---|---|---|---|
0.09銭 | 110.00円 | 110.0009円 | $9090.83 | 8円 |
2銭 | 110.00円 | 110.02円 | $9089.26 | 182円 |
4銭 | 110.00円 | 110.04円 | $9087.60 | 364円 |
25銭 | 110.00円 | 110.25円 | $9070.30 | 2268円 |
外貨購入にあたっては、各通貨に基準となるレートが定められており、基準レートから為替手数料分高くした価格(TTSまたはAskと呼ばれる)で取引されます。
ちなみに、今回は円から外貨を買うケースなので値上げする格好ですが、外貨を売って円を得る逆のケースでは為替手数料分安くなった価格(TTBまたはBidと呼ばれる)で取引されます。
当然ながら為替手数料が高くなるほどに、負担手数料も大きくなります。
100万円のドル購入に対し、0.1%から2%程度の手数料率になる水準です。
ドルを買う方法
先に米国株の買い方をSBI証券に決めてしまったため、連動してドルの買い方について「SBI証券との親和性が高い」ことも望まれます。そのため、SBI証券のサービスやSBIグループでの連携が有力となりますが、実は先ほど為替手数料の例に挙げた、0.09銭 / 2銭 / 4銭 / 25銭はSBI証券を使う上である程度メジャーな為替手数料になっています。
為替手数料 | 手段 | 方法イメージ |
---|---|---|
0.09銭 | FX | SBI FXトレード で購入したドルをSBI証券に手動で入金する。 |
2銭 | 外貨積立 | 住信SBIネット銀行 の 外貨積立 で購入したドルをSBI証券に手動で入金する。 |
4銭 | 外貨購入 | 住信SBIネット銀行 の 外貨購入 で購入したドルをSBI証券に手動で入金する。 |
25銭 | ハイブリッド預金 | 住信SBIネット銀行 の ハイブリッド預金 からドル決済時に自動でドル転する。 |
手数料は先ほど見たとおりですが、こちらの違いはシンプルで、「手動で入金」することが必要かどうかです。上3つはいずれも手動で入金が必要になるため、手動でよければFXを使うことがもっとも合理的です。ただし、FXで購入したドルで米国株を購入する場合には、
SBI FXトレード ―[翌営業日]→ 住信SBIネット銀行 ―[即時]→ SBI証券
という2段階送金が必要になるほか、FXは翌営業日出金となるため、ドル購入 / 振替 / 米国株購入の流れが1日で行うことができないデメリットがあります。
また、ドル転にあたっては、「ドル購入」と「ドル振替」の2段階で行いますが、外貨積立はこのうちドル購入を自動化してしまうイメージです。手間がかからなくなる上、手数料も抑えられるので外貨購入よりも有力だと思われます。
一方、金銭的優位よりも、手間の削減を第一に考えるとなればハイブリッド預金1択になります。
改めて整理すると、ドル転の方法は以下の評価になります。
- 金銭的優位が最も重要
- FX > 外貨積立 > 外貨購入 >>> ハイブリッド預金
- 手間の削減が最も重要
- ハイブリッド預金 >>> 外貨積立 > 外貨購入 >>> FX
他社でのドル購入はどうか
ドル購入に関して、「SBI証券との親和性が高い」ことを条件に入れてしまいましたが、その条件を忘れたとき、ドル購入そのもののコストはどの程度になるのでしょうか。
結論から言えば、他社を選択肢に含めても、SBIグループの利用が最安または最安クラスになります。
- FX
- 手数料が安いオススメの業者をお探しなら必見!スプレッド比較一覧
- 0.2銭が主流、0.1銭なら業界最安レベル
- SBI FXトレードが0.09銭で2020年1月現在で業界最安
- 外貨購入
- 外貨預金で金利がいいおすすめの銀行って?金利だけでなく手数料も比較!
- ネット銀行では25銭が主流、10銭以下が最安レベル
- 2020年1月現在でGMOあおぞらネット銀行が2銭で最安、住信SBIネット銀行も通常4銭で外貨積立を設定すると2銭となり業界最安レベルを確保
顧客基盤のあるメガバンクは総じて手数料が高い状況が続いていますが、競争が熾烈なネット金融の中にあっても存在感を放つSBIグループの競争力はさすがだと思います。
米国株購入の仕組み作り
ここまでで、
- 米国株購入は「SBI証券で 米国株式・ETF定期買付サービス を利用する」
- ドル購入は、手数料と労力の考え方次第で以下から選択
- 何より手数料を減らすなら「SBI FXトレードでドルを購入し、SBI証券へ手動で入金する」
- 何より労力を減らすなら「住信SBIネット銀行のハイブリッド預金から円のまま決済する」
ことが、各観点で有力なことがわかりました。そうした場合、具体的にどういう仕組みができるのか考えてみます。
手数料削減優先パターン
まずは手数料を何より削減するパターンを考えましょう。
中心となるのはSBI FXトレードにおけるドル購入で、為替手数料が0.09銭になります。
初回準備
初回準備としては口座開設と米国株定期買付設定を行います。
- 口座開設
- SBI FXトレード
- 住信SBIネット銀行
- SBI証券
- 米国株定期買付設定
- 米国株式・ETF定期買付サービス を設定
定期購入時の流れ
SBI FXトレードには自動入金の仕組みがないため、積立の原資を入金するところからはじまります。
- SBI FXトレード口座に円を入金する
- クイック入金 を使うことで、即時入金&手数料無料(1000円以上入金のとき)になる
- SBI FXトレードでドルを購入する
- SBI FXトレードから住信SBIネット銀行にドルを出金する
- 出金指示の後、翌営業日に入金される
- 住信SBIネット銀行からSBI証券にドルを出金する
- 外貨入金 を使うと即時入金&手数料無料になる
- SBI証券で米国株をドル決済で定期購入する
円入金、ドル購入、ドル出金、ドル出金と4段階あることに加え、SBI FXトレードからの出金で1営業日を要することから、この手順全体で最低2営業日の手作業が必要になります。
なお、 購入タイミングや購入量調整の余地を考え、一連の作業の流れで株購入まで手動で行ってしまうという考えもあります。こうした場合も、全体で最短2営業日であることは変わりません。
労力削減優先パターン
続いて、労力削減を優先するパターンです。為替手数料は25銭になります。
初回準備
こちらでは、口座開設と自動入金設定を行います。
- 口座開設
- 住信SBIネット銀行
- SBI証券
- 自動入金設定
- 定額自動入金サービス の設定
- 米国株定期買付設定
- 米国株式・ETF定期買付サービス を設定
定期購入時の流れ
以下の流れで動きますが、手動で行うことは何もありません。手順としても非常にシンプルですね。
- 住信SBIネット銀行口座に円が入金される
- SBI証券から円決済で株を定期購入する
没案:外貨積立を利用するパターン
中途半端な仕組みであるため、没案としていますが、外貨積立を利用するパターンがあります。手順だけ書くと、
- 住信SBIネット銀行口座に円が入金される
- 住信SBIネット銀行でドルを積立購入する
- 住信SBIネット銀行からSBI証券にドルを出金する ← ここだけ手作業
- SBI証券で米国株をドル決済で定期購入する
というようなものです。このパターンで非常に惜しいのが、「外貨預金はハイブリッド預金の対象外(Q&Aより)」だということです。このパターンでは、ドルを外貨積立で購入しているため、為替手数料が2銭で済んでいますが、そのままではSBI証券のドル決済に使えないため、結局手作業での出金指示が発生しています。
もし、外貨預金がハイブリッド預金に対応していれば、ドル出金の手作業を省くことで手作業フリーとなり、かつ為替手数料としてはハイブリッド預金案の25銭よりも大幅に安い2銭で済みます。また、ドルの積立購入においても月1の一括購入ではなく、毎日のドルコスト平均法的な分散購入ができるため、為替リスクの抑制にも繋がっていたため、残念でした。
とはいえ、SBI証券のサービス強化によって、ハイブリッド預金で外貨を扱えるようになる可能性も十分にあるため、今後の強化に期待したいと思います。
まとめ
ここまで見てきたように、米国株の定期的な購入については、いまのところ最適解のような仕組みの方向性が2種類考えられます。
最終的にどちらを選ぶかは、冒頭にも述べたように 「お金をとるか」「労力削減をとるか」 の価値観に関わります。
今回は100万円の投資を前提として、年2500円の手数料をどうするかというトーンで記事を書いてきました。当然、投資額に応じて手数料は変わりますが、年50万円なら年1250円、年200万円なら年5000円の手数料と自分の労力を比べることになります。
手数料は投資額に応じて変動する一方、買付の手間自体は基本的に変わりません。変わりがあるとすれば、入金や購入で支持する数字の単位が1つ増えることでしょうか。
仮に、投資額が年1億円になれば手数料は年25万円、月あたり2万円近くになる水準です。そうなればさすがに気になってくるレベルですが、現在のスケールではコーヒー1杯に満たないレベルですので、かけても惜しくないコストだと個人的には判断し、労力削減をするパターンで積立設定を行いました。
考えてもみれば、こうした投資を行う人達の考え方の多くには「不労所得が得たい」という思いがあると思います。そう思ったとき、こうした細かな作業も、広義には労働のようなものですので、ある一定レベル以下であれば、「お金で労力を抑える」ということも至極当然の考えのように思いました。
また、記事を執筆する当初から、SBI証券を中心とした構成が浮かんではいましたが、改めて各観点でフラットに比較したときに、そうであっても当然の選択肢としてSBIグループが浮かんでくるのはさすがだと思いました。これが今のSBIグループを支えている強さですね。
大手ネット証券と並べられる楽天証券とマネックス証券ですが、今回の観点ではあまり魅力的な競争相手ではなかったため、外国株定期買付サービスの導入を含め、今後さらなるサービス拡充を期待したいと思います。