書評: Google AdSense マネタイズの教科書[完全版]

元Google AdSenseエンジニアを著者に含む、AdSenseで収益化を目指したい人のための一冊。

SEOの観点でユーザ価値に着目するところから、実際にAdSense収益を改善していくアクションまで、10年先も安定して稼ぎ続けるために必要な一連の行動をまとめた本でした。

オススメ対象者

この本を読むのに適していると考えられるのは、以下のような方です。

  • Google AdSenseを主軸に収益化したい人

タイトルがそうであるように、あくまでAdSenseを収益の柱とする場合の話になっています。

構成要素としては「サイトテーマの選び方」「Google検索に対するSEO」や「ブログでの収益化を目指すメンタル」なども含まれますが、それらも全てAdSense収益の最大化や持続化に向けた構成となっていますので、個々の要素を学びたい気持ちでこの本を選ぶのはあまり効果的ではないかもしれません。

一方で、AdSenseを明確な柱とする心づもりがあるのであれば、ここまで一直線にまとまった本は今のところないのではないでしょうか。4名いる著者も実際にAdSenseに精通した方々ですし、中には以前にAdSense本を書いている方もいらっしゃいますので、2020年の現時点で集大成のような位置にある本と言っても過言ではないかもしれません。

概要

先ほど対象者について書いた通りですが、私もこのサイトを収益化するにあたっては、AdSenseを主軸にしていきたいと思っていますので、この本を手に取りました。
中でもこの本を選んだのは「関連書籍の中で最も新しかったから」「好意的な評価レビューが多かったから」というのが主な理由でしたが、読み終わった今でもこの本をまず手にとってよかったなと感じます。

それでは、例によっていくつか抜粋しつつ、感想を振り返りたいと思います。

AdSense収益の計算式

本の構成とは前後しますが、「AdSense収益を上げる」ということと「○○を上げる」という行動をリンクさせる意味で、AdSense収益の計算式を以下のように分解しています。

ここで、あらためてAdSense収益を構成している要素を分解します。細分化すると、次のようになります。

表示回数( = AdSenseページビュー×広告ユニット数)×クリック率×クリック単価

Chapter_4 稼ぎ続けるためのAdSenseの運用方法「収益の要素分解」 より

クリックに言及してるため、ここで主眼に置いているのはクリックで収益が得られるCPC課金型の広告のようですね。表示のみで収益が発生するCPM課金型の広告もありますが、AdSenseによる収益経験のある著者からしても注視すべきはクリックであるということがわかります。

ページビューの高いコンテンツとは

そうしたAdSense収益の原理を念頭に置けば、収益の最大化は先ほどの各要素の最大化とリンクすることになります。
そうしたとき、最も基本的なのはAdSenseを掲載するページのページビューです。

そのため、この本の前半3章はそうしたページビュー最大化・継続化に向けた内容にまず触れています。

  • Chapter_1 長期間アクセスが集まり続ける「テーマ」の選び方
  • Chapter_2 アクセス数を安定させる「SEO戦略」
  • Chapter_3 読者にも検索エンジンにも好まれる「サイト構築法」

最初から読み勧めていくと、「そりゃページビューは大事だよな…」と思いつつ、なかなかAdSenseそのものの内容が出てこないことで、本のタイトルを確認したくなることがあるかもしれません。(私は2回ほど確認しました)

確かに、AdSenseの内容を期待して読み始めた人にとっては少しびっくりする導入になっているかもしれませんが、振り返ってみるとAdSenseによるマネタイズにおいては、やはりページビューを獲得する、獲得し続けることが最も大事だというように感じます。

後ほど述べる改善に取り組む際にも、ページビューの上がった下がったなどで判断するわけですので、そもそもページビューがないと増減も分かったものではありません。

また、一過性のコンテンツでページビューを稼いだとしても、この本が目指す「10年先も安定して稼ぎ続ける」ことに必ず繋がるとも言い切れません。そのため、その意味でもやはり前半3章で注目しているような「ページビューの高いコンテンツとは」ということを徹底的に理解しておく必要があり、最終形の1つとも言えるオーソリティサイト(第5章)のイメージはアイデアの1つとして頭に入れておいてもいいと思いました。

このあたりの掘り下げは以前読んだブログの成功技術Googleの使命で調べた内容と似通っていましたので、すでにSEOについて知識のある方はナナメ読みでも済むかと思います。

収益状況の継続的改善

前半3章でページビューの最大化や維持を念頭に置いた話が続きますが、4章ではついにAdSense本体の内容になります。

ブログなどの収益化手段としてAdSenseがメジャーになっていますので、あまり掘り下げられることもありませんが、AdSenseを含む広告プロバイダについての話があるなど、10年先を見据える上では知っておきたい前提知識が多く含まれています。

さらに、そうした前提を踏まえ、Google Analyticsによる収益状況確認を通じて、収益状況の改善に向けた考え方やアプローチについて解説が入っています。

こうした考え方の中には、AdSenseの登場から、スマホを主軸とするモバイルコンピューティングの台頭を受けた変化もあり、今後の変化をも念頭に置きつつ、どのように収益状況と向き合っていけばよいかという行動原理が述べられています。

特に、広告形態として以前主流だったディスプレイ広告からネイティブ広告へと主流が移りつつ、その間ユーザ体験がどう変わっていったのかということは、これからも変化が起こる中では知っておいたほうがいい内容だと思いました。
最終的な収益にはクリック率が大きく関わりますので、ユーザ体験を保ちつつ、クリックが生まれるサイト作りについては、収益化において無視できない内容になっているからです。

こうした時代の移り変わりをも踏まえ、第4章ではPDCAを念頭に、継続的な改善のあり方を解説しています。特に立ち上げ期にPとDに注力する一方で、その後のCとAが軽くなっているケースが多いようですね。

サイトを10年続けるために

「マネタイズの教科書」を謳っていることもあり、基本的な展開は「収益の最大化」に向かいます。
一方で、最後の6章「10年先も安定して稼ぐために」では、以下のような内容が触れられています。

もし1時間後にGoogleのアルゴリズムに大変動が起きて、稼ぎ頭のサイトがすべて検索圏外に飛ばされたとしたら、あなたはそれでもサイト運営を続けられますか?
今まで取り組んできたことをもう一度繰り返すことができるでしょうか?
(略)
10年先も生き残るためには、リスクヘッジを意識したサイト運営がとても重要です。稼いでいたアフィリエイターが突然消える原因の1つは、アルゴリズムの変更でサイト順位が下がりすべての収益が一瞬でなくなってしまうことです。
その結果、金銭的にも精神的にも立ち直れなくなってしまうのです。

Chapter_6 10年先も安定して稼ぐために「稼げるサイトのみに固執するのはリスクが高い」 より

前半3章で取り上げたページビューの最大化については、確かに原則に沿ったものであるものの、それはあくまで現在のGoogleの考えや実態に基づくものです。
事業方針の転換もそうですし、極論としてGoogleが現在の支配的立場から陥落したとすれば、築き上げてきたページビューの優位性も一切意味をなさなくなってしまいます。

10年先を見据える場合、IT業界の10年と付き合っていくことになりますが、変化の早い業界において、10年は見通すのにはあまりに長い期間と言えます。

もちろん、だからこそ変化に追従すべく継続的改善が可能な行動原理を身に付ける必要があるのですが、加えてそうした事態をも意識しつつ、リスクヘッジも必要だということを最後の第6章では述べています。

現時点では失うものがないような状態ですので、こうした状況を恐れる必要は一切ないのですが、現時点で趣味だと思っているものが、自分の中でそれ以上のものに成長したときには、こうした「続けるメンタル」も考えていくべきなんだろうと思いました。

10年先も稼ぎ続けるために

改めてこの本を振り返ると、帯に書いてある通りの「10年先も稼ぎ続ける」という問いに、徹底的に向き合っていると思いました。

大まかな流れとしては、GoogleのSEOやAdSenseの仕組みなどで成り立っていますが、Google自身がそれを重視しているように「ユーザに価値を認めてもらえるコンテンツを提供し続ける」という原則を貫いていると感じます。

そのためには、現時点の価値観で何かを作り上げて終わりというわけではなく、原則に従いつつも、変化を捉え、それに追従していくというまさにビジネスに向き合う姿がイメージできるような内容になっていました。

そうした思いは、本のあとがきからも感じることができました。

10年先も生き残るノウハウについて書かれた本がわずか数年で消えてしまっては、どれだけ素晴らしい内容で書かれていたとしても説得力がありません。
10年先もこの本を手元に置いてもらえる内容にしよう、この本には著者のその想いが込められています。

おわりに より

この本に従えば必ず10年先も稼ぎ続けられるというものでは当然ありませんが、実際にAdSenseを使って稼ぎ続けている方々が、その命題に必死に向き合った結果としてこの本がありますので、初心者が一歩踏み出すには十分すぎるほどの知見が詰まっていると感じます。

まとめ

冒頭に述べたように、この本は「Google AdSenseを主軸に収益化したい人」に強くオススメできるものです。

仮に収益化に至る道筋が何もわからない状態から入ったとしても、コンテンツの集合体としてのサイトのデザインから始まり、SEOの内容からAdSense運用まで、一貫した内容が書かれています。

これからAdSenseを学ぼうとする人にはまずこの本、特に第4章で周辺情報も含めて現在のAdSense情報はかなり獲得できるでしょう。

一方で、他でよくある「はじめるメンタル」や、「サイトの見た目」などについては、内容としてあまり意識的に触れていないように感じましたので、そうした内容については他の本で補足したりしたほうがよいと感じました。

良い意味で、徹底的にタイトルに向き合った本だと思いますので、そのような方はぜひ手にとってみてください。