書評: 大好きなことでお金を稼いで、独立をする方法

貴方にとってのゴミ」を売りなさいとする、一見変わった主張をしている本。

しかし、その主張の根底には、大好きなことでお金を稼ぎたいとするからこそ大事な視点があり、この本にはそれを続けていくために必要な考え方がたくさん詰まっています。

オススメ対象者

この本を読むのに適していると考えられるのは、以下のような方です。

  • 副業を始めたい人
  • 何を副業にしたらいいか悩んでいる人

著者自身がそうであったように、本業の他に副業を持ちたい人にオススメできる本です。
副業を持ちたいとしながらも、何にすればいいか悩むような人にも「貴方にとってのゴミを売りなさい」という主張とともに、様々なヒントがあります。

大好きなことでお金を稼いで、独立をする方法
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概要

この本も、例によってPrime Readingの本です。
日課のように何かいい本ないかなーと探しているときに、たまたま見つけて読み始めました。

書名からも副業のような話であることは推察できるのですが、他の本にはない独特な視点で、書名そのままに「大好きなことでお金を稼ぐ」ために説得力のある内容となっています。

それでは、印象的な部分を追っていきます。

自分を満たすと、うまくいく

本の冒頭、第一章は「うまくいく人の流れ」と題されていますが、ビジネスをうまく立ち上げる人について、以下のように述べられています。

×うまくいかない流れ:
「お金を貯める」→「独立する」→「成功する」→「幸せになる」

○うまくいく流れ:
「自分を満たす」→「分かち合う」→「それを習慣にする」→「成功する」→「豊かになる」

第一章 うまくいく人の流れ「ビジネスをうまく立ち上げる人の『考え方』」 より

前者、うまくいかないパターンは要するに「頑張って準備して、はじめる」というスタイルです。一見、真っ当な進め方に見えますが、筆者はこうした「頑張る」という姿勢に疑問を呈しています。

ちなみに、この「お金を貯める」というのは、「頑張って貯金する」だけでなく、「頑張ってスキルを身につける」とか、「頑張って人脈を作っておく」といったことも含まれます。共通するのは、まずは「頑張って」準備をしているということです。
もし好きであれば、「頑張る」必要はありません。好きではないから、頑張る必要があるわけですね。

第一章 うまくいく人の流れ「ビジネスをうまく立ち上げる人の『考え方』」 より

なかなか過激な表現ですが、確かに言われてみれば、好きなのであれば何はともあれすでに始めているケースが多いと思いますので、「今やっていないことで稼ごう」とする姿勢に問題があるということですね。

そうした意味で、まずは「自分を満たす」とするパターンがうまくいく流れだとしています。
自分を満たしていきながら、周囲に分かち合うことで、それが認められるのであれば、成功に繋がっていくということがうまくいく流れだということです。

この「まず自分を満たす」ということが、後々にも効いていきますので、この内容が第一章にきているのは、あとから読み返しても納得できるところでした。

「貴方にとってのゴミ」を売りなさい

さて、この本の中核となるのがこの考えです。不思議な表現ですね。
「貴方にとってのゴミ」の例として、本文では次のように触れられています。

例えば、そば打ちが大好きな人がいたとしましょう。そば粉をこねたり、細く切って、美味しいそばに仕上げてゆくのが大好きな人です。
だから、どんどんそばを作ってしまうのですが、何十人前と作ってしまうので、一人では食べきれません。
いわば、できたそばは、その人にとっては「ゴミ」に当たります。

第二章 何を売ればいいの?「『貴方にとってのゴミ』を売りなさい」 より

これは非常に面白い考えだなと思いました。

そば打ちが大好きな人は、当然そば打ちできれば満足するわけで、副産物としてのそばはゴミになってしまいます。
一方で、そんな好きなことを続けていれば、自然とそばはおいしくなっていくでしょうから、ゴミであるそばの価値は高まり続けていくということになります。

だから、そのそばを使ってお金を稼げばよく、そのそばは「貴方にとってのゴミ」であるから、いくら売っても苦しくはなく、大好きなそば打ちを一切妨げないということです。

この考え方の対になるのは「貴方にとっての宝物を売る」やり方ですが、当然これはやってはいけないということになります。
本文でもそこまで詳しくは触れていませんが、「宝物を売ると苦しくなる」というのが主な理由です。苦しくなった結果、そもそも好きなことが続けられなくなるということですね。

リミッターを外す

稼ぎ方の本質として「貴方にとってのゴミを売る」としつつ、その稼ぎ方をさらに高めるためのアプローチにも触れています。

稼ぐため、ゴミの価値を高めたいとしたとしましょう。
そうしていく中で、その価値が思ったほど高まっていかない、稼げないという問題について、以下のように述べています。

例えば、貴方が最近、ある趣味にはまったとしましょう。それはゲームでも映画でも俳優でも、何でも構いません。
そこで貴方が友人知人に、「これが面白いんだよ!」と伝えたとしましょう。
ですが、周囲の人は、その価値が全くわかりません。多くの場合、貴方ほどそれを好きでもありませんし、貴方のような感動の体験すらしていないものです。

第四章 価値を高める(その一):リミッターを外す「周囲の人は、貴方ほどそれを好きではない」 より

では、貴方はそこで、どうするでしょうか。
ここで二つの分かれ道にさしかかります。
一つの道は、「貴方がペースを落として、周囲に合わせてあげる道」です。
もう一つの道は、「貴方はペースを落とさずに、むしろ上げて、周囲の人を置いてけぼりにする道」です。

第四章 価値を高める(その一):リミッターを外す「周囲の人は、貴方ほどそれを好きではない」 より

さて、大好きなことで稼いでいきたいとするあなたは、どちらを選ぶでしょうか。

ここでは、「もし貴方が受け入れられない場合、貴方はペースを落とさずに、むしろ上げて、周囲の人を置いてけぼりにする道」が貴方がより売れる道になります。

第四章 価値を高める(その一):リミッターを外す「周囲の人は、貴方ほどそれを好きではない」 より

ということで、周囲に合わせてはいけないということを主張しています。

このことは、後で解説されていますが、要するに「持ち味を最大限発揮する」ことが大事だと言っているんですね。
このことは、これまたそば打ちを例に、次のように表現されています。

すると、そのそば打ちが好きな人は、「そばじゃ、売れないのかな……」と思って、何とか売れようとして、そばにパスタの小麦粉を入れたり、パスタ味のそばを作ろうとしてしまうのです。

第四章 価値を高める(その一):リミッターを外す「『貴方の世界観』を確立する」 より

これは面白い例えですね。
的を射た例えであると同時に、まさに的外れな行動をしていることがよく分かるものになっています。

一章の「自分を満たす」と同じですが、自分の好きなことを尽くして、自分を満たす道こそ、その価値を最大化する秘密が隠されているということですね。

そうして、自身のリミッターを外し、周囲を置いてけぼりにしていく中で、あなたの世界観が確立し、ファンが生まれてくるということを述べています。

大好きなことを続けるために

タイトルにもあるように、この本の主題は「大好きなことでお金を稼ぐ」ことにあります。

普通の本であれば、そこから直接「大好きなことそのもの」を売り物にするような展開をしていく一方で、「大好きなことで稼いではいけない」というような反論もよく見受けられます。
前者は「大好きだからこその強みが発揮できる」という主張でしょうし、後者は「大好きなことが大嫌いになってしまう」というような主張でしょう。

そうしたところ、この本では両者の主張を巧妙に採用しつつ、見事に「『貴方にとってのゴミ』を売りなさい」という主張に繋げています。
ゴミこそ売るべきとするのは、ゴミを売るからこそ「自分の好きなことを一切妨げない」ことを担保するからですし、自分の好きなことを続けられるからこそ、「自分を満たして、強みを発揮する」ことも担保されます。

このように、「お金を稼ぐ」、それも「継続的にお金を稼ぐ」ということを考えたとき、続けるという側面は非常に重要なものです。
だからこそ、自分を満たすことを第一に考え、稼ぐことの苦しみがないようにゴミを売るべきというのは、非常に合理的な考えだと思いました。

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まとめ

私自身、ブログを運営していく中で、収益化も目指していきたいと思っていましたので、SEO的な本を最近何冊か読んでみたり、調べてみたりしました。

そうした中で、収益化の観点では「ユーザに価値あるものを提供する」という指針がいいであろうという考えは、Googleの使命であったり、ブログの成功技術から得ていました。

しかし、そうした中で、どうしても自分の書きたいように記事を長々と書いてしまうことについて、その指針と完全にはマッチしておらず、自分のスタイルとして少し悩ましい気持ちになっていました。

そして今回、たまたまこの本に出会ったわけですが、「『貴方にとってのゴミ』を売りなさい」というメッセージを受け、自分にとってのゴミは「好きなように書いた記事」だということがはっきりしました。
このサイトについてで触れているように、そもそもこのブログを始めたのは「自分の考えを深める」ことにありますし、私は「ユーザが知りたいことだけを一直線に、簡潔に書く」ことが好きなのではなく、「自分が知りたいことを、思ったように書く」ことが好きなのだと改めて思いました。

だからこそ、当面は好きなように長々記事を書いていけばいいですし、ひとしきりレポートのような記事を書ききってから、ユーザの疑問へ端的に答えるような記事を書けばいいと思いました。

自分が今興味をもっている、「ブログを長く続けていくコツ」を知ることができたという意味で、出会ってよかったと思えた本でした。

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参考サイト

この本の著者、中村あやえもんさんはこの本以外にもいくつかの本を執筆されており、あやえも研究所として色々な考えを発信されています。

本書の中でもチラリと出てきますが、プログラミング、小説、作曲、デザイン、心理学などと、非常に多岐にわたって興味を持ち、まさに「大好きなことでお金を稼いでいる」方です。

本書第九章では「自分なりの生き方を考える」と題されていますが、まさに生き方の刺激になるような色々なことを発信されており、私自身もこのように好きなことを続けられるようにしたいなと思いました。

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