書評: 学び効率が最大化するインプット大全

勉強するときはもちろん、生きていく中では情報のインプットは欠かせません。
そういったインプットから、少しでも多くのことを得ようとする場合、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。

そうしたインプットのコツを学ぶにあたり、「日本一アウトプットする精神科医」である樺沢紫苑さんが書いたこの本が役に立ちます。

オススメ対象者

私もそうだったのですが、単純な資格取得のための勉強ではなく、概ね漠然と「何か新しいことを身に着けていきたい」と思っているとき、インプットを増やすことを考えるのは自然なことです。

そうした多読もインプットに必要な要素ではあるものの、インプットの成果を高めるには、インプットの質を高めるような精読の観点も必要になります。
多読と精読のバランスをとり、確実に自分の取り分を増やしていく発想を持つことで、インプットを効果をさらに高めることができるでしょう。

そうした意味で、この本をオススメできるのは

  • あえて明確な目的を持たず、多読を志向しはじめた人

だと思いました。

多読するなという話ではなく、同じように色々な情報をインプットしようとするなら、少しでもそれが効果的になるよう、「学びの第一歩」としてこの本を選ぶと、その後のインプットを最大限活かせるようになると思います。

概要

この本の冒頭では、インプットという行為について、こんなことが書かれています。

インターネット上のデジタル情報は、20年前と比べて5,000倍に増えているといわれています。これからも私たちが接触する情報は、猛烈な速度で増え続けることは確実で、「情報爆発」の時代に突入しています。

つまり、従来型のインプット術をしていては、時間も手間もかかり過ぎる。それが「スマホ疲れ」「情報疲れ」の原因です。
テクノロジーが進化する今こそ、私たち一人ひとりが「インプット術」の革新を行わなければ、情報のインプットだけでヘロヘロになります。生産性高く、バリバリすることは不可能です。
今インプット革命をできる人だけが、AI時代情報化社会の勝者となれるのです。

はじめに より

確かに、インターネットが一般的ではなかった1990年代までは「情報は百科事典から」「ブ厚い辞書は必須」などという時代でした。情報が流通するまでに時間がかかり、アクセスする手間も今とは比べ物になりません。

そうした時代を越え、インターネットが発達し、さらにはスマートフォンの普及でアクセス性が格段に上がった近年では、はるかに多くの新鮮な情報へ、簡単にアクセスできるようになりました。

仮に、自分がインターネットを使っていなかったとして、手持ちの情報がどれくらい失われることになるのか、想像もつきません。それほどに、インターネットとのつながりはもはや切っても切れないものになったと思います。

だからこそ、インターネットを通じて得られる莫大な情報との付き合い方は重要で、親世代から教わらない・教えることができない、新しい時代への対応指針として、インプット術は非常に重要なスキルになると同様に思いました。

前置きが長くなりましたが、印象的だった部分にいくつか触れていきたいと思います。

インプットとアウトプットの黄金比は3:7

本編に入ると、まず最初に出てくるのがインプットではなく、姉妹本であるアウトプット大全からの引用となる、「アウトプット4つの基本法則」です。

その中の1つに、「インプットとアウトプットの黄金比は3:7」というものがあります。これは実際に、心理学者の実験から得られた結果であり、学びの効果を最大化するためには、インプットに要した時間よりも多くの時間をアウトプットに使わなければならないということです。

そうしたことも関係し、他の基本法則として「2週間に3回使った情報は、長期記憶される」といったものもあります。やはりインプットするだけではなく、アウトプットをしていかないと身につかないということですね。

アウトプット前提でいこう

学びのためにはアウトプットが重要ということは先ほど触れた通りですが、それを実践するためにも、インプットにあたって「アウトプット前提でいこう」ということにまず触れています。

例示にもなっていますが、漫然とセミナーを受けるのではなく、アンケート回答を事前に告知しておくことで、アウトプットの質が上がるといったことはイメージしやすい効果だと思います。

私もこうやってブログで書評にすることを念頭においているので、

  • この本の価値はなんだろう
  • 学び取るべきことはなんだろう
  • このくだりはどんな意図で入れられているんだろう

といったことを意識しながら読んでいます。
こうしたアウトプット前提でインプットを吟味していくことが、インプットの質を高めることに繋がります。

つい漫然と読み始めて、いい本だとなんとなく感じた途中からそれを意識することもあるのですが、やはり漫然と進んできたところではあまりポイントを感じることができず、結局あとで読み返したりすることもあります。

ホームラン本を見つける

インプットの効果を最大化する観点では、ついついインプットをどのように活用するかという点を気にしてしまいがちです。

しかし、その前提となる「何をインプットし、何をインプットしないべきか」というインプットの選択スキルは、インプットの根幹をなす、ある意味最も重要なスキルと言えます。

そのため、自分にとっての「ホームラン本」を見つけることが重要で、学びの多いホームラン本なのか、学びの少ない三振本なのかを見出しなどから判別できるようになることが大きな意味を持ちます。

「実際に中身を見てから買う」という点で、著者は書店で実際に本を探すことを薦めていますが、書店以外でも各種レビューサイトや試し読み機能を使うことで、オンラインでもそれなりにホームラン本の見当をつけることができるようになっているのではと感じました。

パラパラ読み

個人的に、発見というか、はっと気づいたようなことなのですが、この本では効率的なインプットを行うテクニックとして「パラパラ読み」が紹介されています。

私は本を買ってきたら、まず目次を見て、自分が知りたいこと、自分の興味のあるテーマをピックアップし、それに相当する部分を読みます。
また、最初からパラパラとページをめくりながら、重要なポイントだけを読んでいきます。そうすると、10分~15分で、その本の「だいたいの内容」と「自分が最も知りたいこと」が把握できます。これを「パラパラ読み」と読んでいます。

08 効率よく読む「まずは『パラパラ読み』で本の全体像を把握する」 より

今思えば変なこだわりだったなと思うのですが、私はこうした読み方が苦手でした。
やっぱり本を読む以上、著者が書いた通りの順序で読むのがよいと思ってますし、自分が読みたいところだけをかいつまんで読むのはなんだか失礼な印象を持っていました。

ただ、この本でも触れているように

  • じっくり読んでいくうちに、本の最初のほうを忘れてしまう
  • 途中で力尽き、積ん読になってしまう

ということも経験しており、それはそれで読みきれない自分のせいだと思っていました。

が、この本ではこのパラパラ読みについて

読書は、「本の1ページ目から順番に読んでいくのがあたり前」と思っている人が多いかもしれません。それは「小説」を読む場合はいいのですが、ビジネス書や実用書の場合は、ものすごく効率の悪い読書法です。

まず全体を把握し、部分を細かく読んでいく。「全体」から「部分」へと理解していくのは、脳の仕組みによくマッチするので、記憶にも残りやすくなります。

と述べています。

確かに、私は同じ本だからとして、小説と同じように実用書を読んでいたし、そのことが結果的に自分に身につかないなら、ある意味読まないより著者に失礼なことをしていたんだなと思いました。なんだか憑き物が落ちたような感覚です。

この本は前から順番に読んでしまいましたが、これからはパラパラ読みをしながら、効率的なインプットをしていきたいと思います。

マンダラチャート

パラパラ読みよりは頻繁に使わないものの、マンダラチャートもなかなか便利そうなツールだなと思いました。

マンダラチャートとは、数独と同じように9×9のマスを作り、中心ブロックの8マスにテーマを、それを取り囲む8ブロックに各テーマに関連する具体的なトピックを並べていきます。
…と、活字で見るとよくわからないですね。実際に作ってみました。

これはまだ途中ですが、中心に8つのテーマを置き、周囲のブロックでトピックを分解していくイメージは伝わるかと思います。
実際に自分でやってみると、中心の8個を選ぶのも結構大変ですね。

ちなみに、8個を選ぶにあたってはGoogle Discoverが役に立ちました。
確かに、情報収集してる傍らではAndroid/ChromeといったGoogleサービスが常にあるため、Googleが自然と興味を学習してくれていました。

スマホからの利用がメインですが、GoogleニュースのおすすめがGoogle Discoverと同じ動きになっているようなのでPCからも利用可能です。
こういったIT技術を上手く活用していくのもインプットのテクニックだなと改めて感じます。

3つの気付き

人が多くのことを覚えられないことを前提にインプットのテクニックが色々と展開されますが、その究極形とも言えるのが「3つの気付き」です。

要するに、「記憶に留めるポイントを3つだけに絞る」ということです。
もちろん多くのことを覚えられれば御の字ですが、たくさん覚えようとして結局何もはっきり覚えられないということも十分考えられます。

そうした本末転倒な状況を避けるために、「3つで十分」という気持ちで取捨選択し、しっかり記憶に印象づけるのが結果的には効果的だということです。

また、この本では3つの気付きに続いて、可能であれば「明日から実行したいことを3つ」書くことも薦めています。
欲張りすぎず、できる範囲で、着実にやっていくのがインプット効率を高め、学びとしての定着率を上げる素直なテクニックということですね。

まとめ

実を言うと、この本自体は出版されたくらいのタイミングで、その存在は知っていました。
内容的には興味がありましたし、評判もよさそうだったので読みたいなと思っていたんですが、なんとなく後回しにしていました。

今回読んだのは、Kindleのセールで50%引きになっていたのがきっかけですが、読んでから思うのは「もっと早くに読んでおけばよかった」ということです。

結局のところ、いずれこの本を読むとしていたなら、早くに読んでおけばよかったわけです。
そうすれば、その後のインプットが少なからず効率化されるわけなので、その後の読書も楽だった、効果的だっただろうなーと思いました。

とはいえ、これでめでたく私もいくらかのインプット技術を身に着けたわけなので、たまにこの書評メモを振り返りながら、効果的なインプットをこれからの人生では心がけていきたいと思います。

そうしたことで、いろいろなインプットの第一歩として、とてもオススメできる本だと思いました。