身の回りから確かめる、生活必需品優待銘柄(食品編)

新型コロナウイルス感染症の問題を受け、緊急事態宣言が発出されたところですが、いかがお過ごしでしょうか。
多くの企業業績が下がると見込まれる中で、日々の食べ物はもちろんのこと、トイレットペーパーなど、生活必需品の需要はそうそう下がることはありません。

今回はそのような生活必需品企業について、実際に身の回りの品を手に取りながら、考えてみたいと思います。

生活必需品とは

突然ですが、今日使用した市販商品を思い浮かべてみてください。
朝起きてトイレに行けばトイレットペーパー、歯磨きをすれば歯磨き粉、朝にはスーパーやコンビニで買ったパンを食べ、夜にはスーパーで買った肉や野菜を食べて、ボディソープで体を洗ったりするかと思います。

そうした、生きていく上で欠かせない品のことを生活必需品と呼びます。

安定的な需要

こうした生活必需品は今回のように外出を自粛したとしても、変わらず消費されるものが多く、またそれを売る小売店の需要も底堅いことで知られています。

また、社会全体の需要だけでなく、個々人の「愛用する」という性質からも、需要が安定的になる傾向があります。
趣味で色々な種類を試す方もいるかと思いますが、何か自分のお気に入りを見つけたら、大体それで決めているという方も多いのではないでしょうか。

主な生活必需品

こうした観点から、主な生活必需品を上げると、以下のようなものが考えられます。基本的には「スーパーで手に入るもの」だと思えばよいでしょう。

  • 食品
    • 生鮮食品
    • 加工食品
    • 調味料
    • 飲料
  • 日用品
    • 衛生用品
    • 洗剤
    • 家庭用品
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身の回りの生活必需品(食品)

それでは、実際に先ほどの生活必需品について、身の回りのものを確かめながら、どのような生活必需品企業がみてみましょう。

もちろん先ほど述べた日用品も調べますが、記事が長くなりすぎるので今回は食品を取り上げてみます。

生鮮食品

早速のところ拍子抜けですが、生鮮食品を消費者へ直接提供する企業というものはあまりありません。

農業法人や漁業法人がそれにあたると言えますが、一般的なメーカー品とは異なり、そうした会社名を消費者が意識することはあまりないでしょう。

ただし、企業の認知は少ないとしても、生鮮食品のブランドにはいくつか知名度のあるものがあります。

ブランド名商品種別企業
コシヒカリ日本
つや姫山形県
Doleバナナ等株式会社ドール
雪国まいたけきのこ株式会社 雪国まいたけ
あまおういちご福岡県

というような生鮮食品ブランドは、聞けばイメージできるものではないでしょうか。

米の品種といえばコシヒカリが最も有名かと思われますが、最近ではブランド米が数多く発表されています。つや姫は山形県のブランド米ですが、色々食べた中では個人的にコスパが高いと感じたお米でした。おすすめです。

ちなみに、バナナやパイナップルでおなじみのDoleですが、実は2013年から伊藤忠商事グループの会社になってます。初めて知りました。

加工食品

加工食品となればメーカーの意識が出てきます。

ブランド名商品種別企業
超熟食パン敷島製パン(Pasco)
超芳醇食パン山崎製パン(ヤマザキ)
コーンフロスティシリアルケロッグ
シャウエッセンウインナー日本ハム
アルトバイエルンウインナー伊藤ハム
とろけるスライスチーズ雪印メグミルク
マ・マーパスタ日清製粉
ポッキー菓子江崎グリコ
ポテトチップス菓子カルビー
チョコボール菓子森永製菓

このあたりの加工食品はよくCMでも宣伝されることから、ブランドと企業の認知が比較的大きいところかと思います。

とはいえ、食パンメーカーは素直に企業名を推しているわけではなく、企業ブランド名のようなものを構えているようですね。このあたりはウインナーメーカーの素直さと少し毛色が違います。ちなみに我が家は超熟派です。

最近なんとなく好きなのは、マ・マーの早ゆでシリーズですね。
最終的に円筒形になるはずのパスタを、独自の歯車カットにすることで、ゆで時間の短縮に成功しているやつです。その技術にはなかなか感動します。

その他、お菓子も商品ブランドが強いですね。
お菓子メーカーとしての国内売上高は江崎グリコ、カルビー、森永製菓の順ですので、それぞれを代表するお菓子ブランドを挙げてみました。

調味料

続いては調味料です。このあたりも非常に聞き覚えがありますね。

ブランド名商品種別企業
しょうゆ醤油キッコーマン
本みりんみりん宝酒造
めんつゆめんつゆヤマキ
中濃ソースソースブルドックソース
トマトケチャップケチャップカゴメ
マヨネーズマヨネーズキユーピー
穀物酢ミツカン
味ぽんポン酢ミツカン
キャノーラ油味の素
BOSCOエクストラバージンオイル日清オイリオ
ほんだし和風だし味の素
バーモントカレーカレールウハウス食品
ZEPPINカレールウ江崎グリコ

ケチャップといえばカゴメ、マヨネーズといえばキユーピーというように、これらは非常にブランドイメージが強い企業ですね。世界的に見れば、クラフト・ハインツのケチャップが有名だと思いますが、日本での知名度はいまいちですね。
ハインツの逆さボトルが便利なのでうちはこのケチャップを使ってます。

他にはカレールウも宣伝が活発で、ブランドイメージの強い商品かと思います。
とはいえ、実際にはハウス食品のシェアが圧倒的で、バーモントカレーの中辛と甘口だけでカレールウシェアの20%を以上を占めているそうです。
それ以外のブランドも合わせれば、約60%のシェアをハウス食品1社で占めているようですね。まさに日本カレー界の巨人。

食品業界でここまでの偏りが生まれることは珍しいんですが、以下の記事によれば「採算ラインが高い」「愛用性が強い」ことが参入・生存障壁の高さを生んでいるようですね。なるほど。

個人的には江崎グリコのZEPPINが好きなんですが、どうもこれらの巨人にはなかなか及ばないようですね…。

飲料

食品カテゴリでは最後の飲料です。

ブランド名商品種別企業
綾鷹緑茶日本コカコーラ
伊右衛門緑茶サントリー
コカ・コーラコーラ日本コカコーラ
ペプシコーラコーラサントリー
アクエリアススポーツ飲料日本コカコーラ
ポカリスエットスポーツ飲料大塚製薬
スーパードライビールアサヒビール
一番搾りビールキリンホールディングス
ザ・プレミアム・モルツビールサントリー
-196℃ ストロングゼロチューハイサントリー
氷結チューハイキリン
ほろよいチューハイサントリー

思いつくような代表的なカテゴリで、かつ自分が選んだことのある商品を並べてみましたが、自然と日本コカコーラとサントリーに吸い寄せられていることがわかりますね。

実際、日本の飲料メーカーに目を向けると、サントリーが約2.5兆円で首位、2位アサヒが約2.0兆円となっています。
日本コカコーラは約6000億円なのですが、グローバルでは約300億ドル、つまり3兆円規模の売上を誇っています。
近年、飲料メーカーの買収も盛んに行われていますので、単純に増収しているだけとも言えませんが、根源的には商品力の高さで増収している面が強いと思いますので、このあたりはさすがと言えるでしょう。

ちなみに、日本でのペプシコーラはサントリーから販売されていますが、元々の商品はペプシコから供給されています。ペプシコはコカコーラを更に凌ぐ約600億ドルの売上がありますので、いずれも世界を股にかける企業でありながらも、戦略の違いが垣間見えます。

一方で、飲料の中でもビールやチューハイと言ったアルコール飲料に目を向けると、少し様子が違って見えます。
アルコール飲料の代表格、ビールにおいてはスーパードライで知られるアサヒビールが売上首位となります。次に一番搾りや淡麗を展開するキリンホールディングス、3位に飲料業界首位のサントリーがきます。
総売上としてはサントリーに遅れを取るアサヒビールではありますが、社名の通り、ビール業界においては存在感を示しています。

一方、そんなサントリーはストロングゼロほろよいなど、新しいアルコール市場で存在感を見せていますね。キリンホールディングスも氷結ブランドが長らくチューハイとしては売上首位をもっていましたが、あっという間にストロングゼロ界隈にその座を奪われたようです。
ストロングゼロ以降、各社高アルコール度数のチューハイを展開するようになりましたが、ビール業界と違ってまだまだブランディングの戦いは続きそうです。

食品分野の注目優待銘柄

さて、このように見てきた生活必需品ですが、普段から常用しているものであれば、株主優待でお得に手に入れられれば非常に嬉しいことです。

ここまで挙げたブランドを展開する企業のうち、優待を行っている銘柄をみてみましょう。

生鮮食品

生鮮食品は特段メーカーとしての色がないため、あまり優待とセットになりません。ただし、汎用性の高さという点で、カタログギフトから選べる場合が多いので、カタログギフト優待の銘柄を調べてみましょう。

企業優待内容株価利回り(優待込み)
タカラレーベン全国共通おこめ券346円5.89%
イオンモールカタログギフト等(1つ選択)1,305円5.35%
KDDIカタログギフト3,128円4.30%
オリックスカタログギフト等1,279円5.94%
東海カーボンカタログギフト916円5.24%
日本モーゲージサービスカタログギフト等1,593円4.07%

このところ、株価が大きく下落していますので、どの企業も見かけ上の利回りが非常に大きくなっていますね。
非常に魅力的な反面、業績の低迷から優待や配当の変更があり得るため、それなりにリスクを抱えた状況であるとも言えます。

加工食品

続いて、加工食品です。

企業優待内容株価利回り(優待込み)
日本ハムハムなど3,520円3.40%
伊藤ハム米久ホールディングスハムなど626円3.50%
江崎グリコポッキーなど4,550円1.53%
カルビーなし(不定期優待あり)2,984円1.60%
コイケヤポテトチップスなど4,400円1.46%

加工食品の優待は実はあまりありません。
パンなどが代表的ですが、賞味期限として1週間程度しか持たないような商品を、優待とはいえ前触れもなく送付するのが微妙だからでしょうね。

その点、ある程度日持ちのするハムは優待になっていますし、お菓子についてもちらほら優待になっているものがあるようです。

お菓子優待についてユニークなのがカルビーで、こちらは名目上定期的な優待というものが存在しないのですが、隠れ優待と通称される不定期の優待が存在します。

内容としては自社を代表するポテトチップスやじゃがりこ、フルーツグラノーラなどが含まれているようですね。
わざわざ優待としていないのは「優待目的の売買ではなく、長く保有していてほしい」という考えに基づくと言われていますが、確かにユニークな仕組みですね。

調味料

続いては調味料ですが、こちらは加工食品と違って日持ちするものが多いため、優待を設定しているところが多いようです。

企業優待内容株価利回り(優待込み)
キッコーマン醤油など4,650円0.88%
ブルドックソースソースなど1,089円2.51%
カゴメケチャップなど2,724円1.28%
キユーピーマヨネーズなど2,067円1.93%
味の素味の素など1,869円2.24%
日清オイリオグループ油など3,430円4.30%
ハウス食品グループカレーなど3,170円1.45%

このあたりの優待内容は全て「など」で濁してしまいましたが、食品メーカーとしての手広さがそのまま優待に現れています。

一方で、じゃあ手広くないほうはどうかというと、自社の目玉となる商品をそのまま優待に据えているので、これはこれでわかりやすいですね。

飲料

最後は飲料です。こちらも、調味料同様に日持ちするタイプの商品だといえますが、いかがでしょうか。

企業優待内容株価利回り(優待込み)
大塚ホールディングスポカリスエットなど4,247円3.05%
アサヒグループホールディングスビールなど3,671円2.99%
キリンホールディングスビールなど2,143円3.44%

なんだか寂しい感じでした。
というのも、サントリーは業界最大手ながら上場していないためそもそも優待がなく、日本コカコーラも優待を出していないので、先ほど挙げた一覧からは多くが抜け落ちた格好になります。

個人的にもサントリーは好きなので株があれば買っているとは思いますが、経営への介入をよしとしないからか、長らく上場していないですね。
議決権への介入を嫌うのはもっとな話なんですが、グーグルなどで見られる、株の議決権に傾斜をかけるクラスA/クラスB株式などで上場してもいいんじゃないかなーと思ったりします。
が、現状は株がないので粛々と商品を買って応援したいと思います。

元々の並びの時点で不思議でしたが、大塚ホールディングスは飲料メーカーではなく製薬企業ですね。ポカリスエットやカロリーメイトなど、機能性食品メーカーの側面はありつつも、製薬と食品の両輪で健康を支える企業として事業を展開しています。

あとは、ビールメーカーの2社ですが、こちらは素直にビール優待ですね。
アサヒビールでは優待でしか飲めない限定ビールを優待にしているようなので、アサヒファンとしては嬉しい優待ではないでしょうか。

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まとめ

今回はまず生活必需品のうち、食品分野をみてみました。

食品メーカーの企業競争力の基本は、提供する食品そのものの商品力にあります。
その場合、自分が知らずしらずのうちに偏ったメーカーの商品を重用していることを考えれば、自分が重用している商品、さらにはそれを提供する企業の商品力を認めていることになります。

投資をする場合には、もちろん売上高や利益率など財務諸表を見るべき側面は多くありますが、「数字ではなく事業を見よ」とする考えもありますので、事業を見る点では、今回のような観点で身の回りの企業を調べてみるのもいいのではないでしょうか。

今回調べてみて自分なりの発見もありましたので、既にファンになっている企業の株を買ってみようかなと思います。

次は生活必需品(日用品編)として、洗剤などを調べてみたいと思います。

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