自分に合った優待銘柄選びのポイントを整理してみよう

このところ、市場全体で株価が大きく下落しました。
保有株の打撃はもちろん受ける一方で、個々の企業そのものの事業性が崩壊したわけではないと考えれば、有望な株を仕込むにはもってこいのイベントと言えます。

そうした中で、「前々から狙っていた優待銘柄を仕込もう」という考えが浮かぶのですが、自分にとってどういうものであれば買ってよいのかということを、優待内容以前に少し引いて考えてみたいと思います。

優待銘柄を選ぶポイント

この記事では、なぜ優待銘柄に魅力を感じているのかというところから入り、「自分にとって最も魅力が大きくなる優待銘柄は何か」ということを掘り下げます。

詳しくは後述しますが、重要なポイントとしては以下です。

  • 選び方
    • 長期保有できるか
    • 優待を必ず使いきれるか
    • 他の優待に比べ、金銭的メリットがあるか
  • 持ち方
    • たくさんの企業の優待を原則100株だけで狙う

それでは、順に考えてみましょう。

優待銘柄の魅力とは

株式投資の雑誌などでも度々特集が組まれる優待投資ですが、要するにどこが魅力だとされているのでしょうか。少しググったりしてみると、概ね次のような内容であることがわかります。

  • 優待を安定的に享受できる
  • 優待には税金がかからない

それぞれ、どういうことなのか考えてみましょう。

安定的な優待

1つ目は、「優待を安定的に享受できる」という魅力です。

確かに、配当とは異なりその都度の決算で優待内容が流動的に変わるということは稀です。もちろん、優待の変更が発生することはありますが、配当が変動するよりは珍しいことだというのはおそらく間違いありません。

また、長期保有にさらなるメリットがある場合も多いですが、そうしたことも合わせて安定的に優待を享受することを魅力に考えている人が多いようです。

非課税の優待

2つ目は、「優待には税金がかからない」という魅力です。

配当も優待も、それぞれ「利回り」という言葉を伴ってその優劣が評価されたりしますが、入金時に源泉徴収されるなど、税金が引かれてしまう配当とは異なり、優待では実質的な金銭メリットに対する課税はありません。
言い換えれば、優待銘柄は同じ金額の配当よりも実質的に高い優待利回りが得られる、というような話ですね。

そのため、同じ額の配当と優待を得るとした場合には、優待のほうが魅力的であるというのは間違っていない比較だと言えます。

優待の目的

我々、株式を買う側からすれば優待の魅力があることはわかりました。
簡単に言ってしまえば「優待のほうが得だから」というような魅力ですね。

では逆に、優待を出す企業の方は損をするのでしょうか?
企業の視点から「なぜ優待を出すのか」ということを考えてみたいと思います。

企業の宣伝

1つ目として、魅力的な優待を設定することで、企業の宣伝効果が見込めるということです。

優待銘柄を探すときには、当然自分が知っている企業以外も探しますが、まず目に留まるかどうかは、この「魅力的な優待か」というところに尽きます。
そうして、目に留めてもらうということが宣伝の第一歩であり、食品系メーカーによく見られる「自社製品での優待」というのは、企業名だけでなく、企業の製品の宣伝も兼ねています。
優待でもらった食品は当然食べることになりますが、これが想像以上においしかったりしたら、優待を待たずに普通に買いますよね。こうした効果まで期待できます。

株価の安定

長期保有にさらなる優待メリットを与えている理由でもありますが、優待を狙った株主が1年を超えて長期で株式を保有する場合、必然的に株価が安定することになります。

株式公開の目的を、市場からの資金調達だとする場合、株価が安定していることは資金調達手段として重要な要素であるため、優待設定の狙いとしても見逃せない効果です。

株主数の獲得

ここからはさらに市場都合になりますが、一般に優待を設定すると小口の個人投資家が集まることから、株主数が増えます。

株主が増えるということは、それだけ議決が難しくなるということにも繋がりますし、かつ先ほど述べた長期保有者でもあるわけなので、買収工作を仕掛けられにくいという企業防衛の意味を持ちます。

また、東証一部から二部/マザーズ/JASDAQとそれぞれの上場に必要な株主数を目安として定めています。
東証一部では2000人、一方で二部は400人とされているため、二部から一部昇格を目指す場合や、一部からの降格を避ける場合に優待を設定する企業があったりします。

優待の魅力を最大限引き出すには

そういった、我々からみた魅力と、企業の狙いを踏まえた上で、最も上手く優待と付き合うにはどうしたらいいでしょうか。

企業の狙いを踏まえ、その通りに行動しても我々の魅力に適えばよいわけなので、企業と株主で、いわゆるWIN-WINの視点を持つことが大事ということです。

長期保有できるか

企業から見たとき、優待以前に大事なことは、自社の事業を継続的に伸ばしていくことです。
そのために優待を設定している面がありますし、様々な戦略や戦術で自社の事業を長期的に伸長させ、より多くの利益を上げることが営利法人としての使命です。

結局のところ、その株式を長期的に保有して優待メリットを最大化することは、短期的な価格変動はさておき、「長期的な価格変動を好意的に捉え、長く持ち続けられるか」ということに尽きます。
企業側も、「好きになって、長く保有してほしい」という意味で、長期保有者への優待アップなんかをしているわけですから、「自分が長く持ちたいと思える」ということは自分にとっても、企業にとっても基本的ではあるものの優待銘柄を評価する上では最も大事なことです。
この捉え方は、ウォーレン・バフェットの「よい企業を長く保有する」という考え方とも似ているところですね。

株式投資の本分からすれば、投資基準として据えるべきは単に「長く保有できるか」だけではありません。
しかし、考えれば考えるほど大事な側面を含んでいるため、投資への入門としてまず親しみやすいこの観点で優待銘柄を選んでみるのもそう悪くはないと思います。

優待を使いきれるか

優待の魅力の中で、「優待は非課税」という話をしました。

特定口座で20%引かれることを踏まえれば、確かに圧倒的なお得さなのですが、これは100%優待を使い切れた場合だけです。
飲食店など、割引券などが冊子になって半年ごとに送られてくるケースがありますが、仮に半年ごとに使い切れなかった場合、20%お得だとか言っている場合ではないですね。このように、使い切れない優待をもらうくらいなら、税金が引かれようが配当をもらったほうがマシであると言えます。

優待銘柄を選んでいるときには表示された優待利回りや、イメージ上の優待に目を奪われてしまいますが、真に優待銘柄の魅力を引き出せるかどうかは、その優待を使い切れるかどうかにかかっているというわけです。

金銭的メリットの比較を忘れない

ここまでは、「自分にとって持ち続けたいと思える企業でこそ優待を受けるべき」ということを言ってきました。

しかし、忘れてはいけないのは「そもそも金銭的にメリットがあるかどうか」ということです。
例えば、根強いファンを持つ優待銘柄としては、ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドが有名です。

2020年3月1日現在で単元あたりの価格が約120万円ですが、配当+優待利回りで高々1%程度しかありません。

確かに、オリエンタルランドはディズニーリゾートの高い魅力を有し、それを支える多くのファンが既に存在していることから、今後も将来性のある企業でしょう。
しかし、そうであるということと、配当や優待で優位であることはまた別です。
チャートを見てみるとわかるように、どちらかといえば無配に近い状態で、キャピタルゲインの最大化を目指すような銘柄ですので、そもそも優待銘柄であるとして見てはいけないということですね。

では優待銘柄として見なければどうか、という話は当然あります。
しかしそうすると、この記事を離れ「本質的にどんな銘柄を買うべきか」という話になってしまうので、今回はあくまで「優待銘柄として投資したい場合に考えること」に絞る意味で、話はここで止めておきます。

優待銘柄を分散する

最後のポイントとして少し毛色の違う話ですが、原則として「優待銘柄はそれぞれ100株だけでよい」という持ち方を考えておきましょう。

株主数のところでも触れましたが、優待の目的に株主数が関わりますので、最も効率的に株主を得たいと企業は思うでしょう。
そうしたとき、100株で優待をだすのは当然として、200株で優待を出したところで、優待コストに見合う株主数増加が得られないことになります。そのため、多くのケースで最も効率的に優待が得られるのは100株の場合ですので、基本的には100株で分散させるようにしましょう。

ただし、あくまでこれは原則などで「1000株以上の株主には追加で~」という特別優待があるケースなどはその都度判断してください。

魅力を引き出すポイントまとめ

このように、個人投資家が長期的に株式を保有し、その企業の製品やサービスを優待を好んで受ける、また優待分を超えて利用したいと思ってくれるならば、企業からみてこれ以上に優待の目的が果たされることはないでしょう。

そうした意味で、優待の魅力を引き出すポイントとしては、冒頭に挙げた通り

  • 選び方
    • 長期保有できるか
    • 優待を必ず使いきれるか
    • 他の優待に比べ、金銭的メリットがあるか
  • 持ち方
    • たくさんの企業の優待を原則100株だけで狙う

ということになります。

ポイントを踏まえた優待銘柄例

それでは、これまで踏まえた優待の魅力を引き出すポイントを踏まえ、優待銘柄を具体的に選んでみましょう。
以下で挙げる銘柄は、あくまで私の視点からみて好ましいと思えるものですので、結果としての銘柄一覧ではなく、各銘柄を良しとした考えに注目し、ぜひ自分でも考えてみてください。

選定銘柄一覧

後で個別にもコメントしますが、好ましいと思った銘柄をまとめて表にしてみます。
なお、優待や利回りの内容は2020年3月1日時点のものであることに注意してください。

企業名優待内容
(100株時)
優待利用優待利回り配当利回り合計利回り
クリエイトレストランツ
ホールディングス
食事券(2/8月)4.67%0.70%5.37%
日本マクドナルド
ホールディングス
食事券(6/12月)2.64%0.72%3.36%
モーニングスターサービス(3月)
(81.79%)
3.96%3.96%
KDDIカタログギフト (3月)0.98%3.43%4.41%
オリックスカタログギフト (3月)2.87%4.36%7.23%

食事券優待

優待として最もわかりやすいのがこのタイプです。
優待利用の評価で特に◎をつけていますが、「優待がなくても普通に行っていた」意味でワンランク上げて捉えています。

クリエイトレストランツホールディングスは飲食チェーンを展開していますが、優待対象店の中では磯丸水産つけめんTETSUかごの屋あたりが自分が普通に行ったことがある店として目に止まりました。
株そのものの配当利回りはそこまで高くはありませんが、10万円未満の投資で年間4,000円の食事券優待が得られるのは非常に強力ですね。400株保有では特別優待と合わせて、年16,000円分の優待がもらえます。

同じように、マクドナルドも食事券ですが、年間では普通に使い切れる程度に好き好んでいっているため、長期投資の観点からも問題ないと考えています。

サービス優待

普通に優待銘柄を調べる中ではあまり出てきませんが、投資情報の収集に興味があるので気になりました。

モーニングスターは投資情報を取り扱う企業ですが、優待に関わらずWebサイトにはいつもお世話になっています。

優待としては、そんなモーニングスターが発行する株式新聞の利用権(100株で半年)です。半年でも26,400円するサービスなので、素直に優待利回りを計算するとなんと81.79%になりますが、ちょっと特殊なので合計利回りからは除いています。
また、これも特殊なので除いていますが、仮想通貨XRP(リップル)を年間2000円分程度優待として出しているようです。

それにしたって、配当利回りもそこそこありますので、投資情報を大事にしたい個人投資家としては十分検討に値する優待銘柄だと思いました。

カタログギフト優待

一般的な優待銘柄として真っ先に名前が上がるのがこのあたりでしょう。
利用性が魅力に直結する分、万人にオススメできるわけではない食事券やサービス優待ですが、カタログギフトであればそれぞれが好きなものを注文することができます。
カタログギフトを優待にしている企業は他にもありますが、特に有名な2つを紹介します。

これらの企業は元々高い知名度を誇っていますが、それでもなお魅力的な優待を設定しているなど、株主還元に積極的な企業だと言えます。
単一の事業に注力する企業がほとんどな中、これらの企業は幅広い事業を手掛けており、長期保有を考えた場合の事業安定性についても信頼がおけるところだと考えられます。

使い勝手のいいカタログギフトではありますが、手を出しすぎると結婚式が連続したときにありがちな「もらうものがない」状態にも陥りかねません。
特に、最近ではふるさと納税も実質的にカタログギフトのような様相を呈していますので、全体を見て「カタログギフトを使いきれるか」という利用性については食事券などと同様にやはり注意しなければなりません。

いつ買えばよいか

様々な観点から企業を比較し、自分にとって魅力的な優待銘柄が見つかったとします。
そうしたときに、最後の悩みとして存在するのが「いつ買えばよいか」という点です。

結論から言えば、銘柄の選定基準に「長く保有できる」ということを入れているため、基本的にはいつでもよいです。
選定の際には、そのときの株価で見た時の利回りで考えるわけですから、今の株価で十分魅力的と判断した結果であるからです。

ただし、そんな中でも「権利落ち」にだけ注意してください。
優待というのは基本的に「○月○日時点での株主」を条件とします。そのため、そうした権利確定日だけを狙って買い、権利が得られたら即座に売却するという投資家も存在します。(詳しくは言いませんが、極端な例が優待クロスを使ったものです)

そのため、たまたまこうした検討をしているときが、銘柄によっては権利確定に向けて短期的に株価が上昇している時期である可能性があります。そうした場合には、権利確定日を避け、チャートを見ながら株価の安定しているタイミングで基本的には買うようにしましょう。

まとめ

人気の高い優待投資について、少し引いた視点から選定のポイントを考えてみました。

株式投資自体が、「長期的な事業成長に期待して自らの資金を信託する」ような側面を持っていますので、「長期的に保有する」ことは企業にとっても、株主にとっても目指すべき状況だと言えます。

そうした目指すべき状況に向け、一蓮托生となる株主へのお礼と、また今後も保有し続けてほしいというメッセージを込めて優待を出しているわけでもあるので、そうした利害関係を理解した上で、優待銘柄を選ぶのが望ましいですね。

カタログギフトであったり、単純な高配当銘柄はよく記事化されますが、「普段から使っている」とか「使ってみたら魅力的」というような優待こそが、自分にとっての魅力が最も大きい場合が多いです。
そうした一般的な記事にはなりにくい、「自分にとってのお宝優待」を探すためにも、改めて優待の意味や意義を考えながら、優待銘柄を1つ1つ見比べていってはどうでしょうか。

参考記事

そもそも優待とはなんであるかという観点で参考にした記事です。