前回は生活必需品の食品分野について、主な商品ブランドとそれを提供する企業の優待についてチェックしてみました。
今回は同様に、日用品分野について商品と優待を調べてみたいと思います。
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生活必需品とは
前回と同じですが、改めて大枠だけ復習します。
生きていく上で欠かせない生活必需品ですが、大まかに以下の分類が考えられます。
- 食品
- 生鮮食品
- 加工食品
- 調味料
- 飲料
- 日用品
- トイレタリー
- ヘルスケア
- 洗剤
- その他家庭用品
食品は前回調べた通りですので、今回は日用品を調べてみたいと思います。食品編は以下からどうぞ。
身の回りの生活必需品(日用品)
それでは、自分が使っているものを中心に、主だった日用品について考えてみます。
元々日用品というカテゴリがふんわりしているので、以下で分類しているサブカテゴリについてもそこまで厳密なものと考えずに色々と挙げてみます。
トイレタリー
まずはトイレタリー用品からです。日本では耳なじみがないかもしれませんが、名前の通りトイレを含め、お風呂や洗面所といった水回りで人間に対して利用する製品です。
ブランド名 | 商品種別 | 企業 |
エリエール | トイレットペーパー | 大王製紙 |
ネピア | ティッシュペーパー | 王子ネピア |
シルコット | ウェットティッシュ | ユニ・チャーム |
キレイキレイ | ハンドソープ | ライオン |
ビオレ | ボディソープ | 花王 |
メリット | シャンプー | 花王 |
パンテーン | シャンプー | P&G |
LUX | シャンプー | ユニリーバ |
アクアフレッシュ | 歯磨き粉 | グラクソ・スミスクライン |
G・U・M | 歯磨き粉 | サンスター |
クリアクリーン | 歯磨き粉 | 花王 |
このあたりはトイレタリー企業としてトップの花王に存在感があります。
日本の企業は、アメリカの企業に比べ株主還元が弱いと言われますが、そんな日本企業の中でも2020年時点で30期連続増配を続けており、日本版配当王と呼べる企業です。
30期連続の増配を達成しながらも、配当利回り1.5%前後と突出して高くないことを考えれば、株価も順調に高めてきたことがわかります。実際、10年前に2000円程度だった株価は今や8000円を超え、4倍以上の成長を遂げています。
こうした成長は安定的な事業に支えられてのことですが、花王製品のラインナップを見ると、「これも花王か」と思えるものが多いのではないでしょうか。
全体的に、聞き覚えのあるブランドばかりかと思いますが、トイレタリーに限らず日用品は低価格で高頻度に買う商品が多いため、CMが頻繁に展開される傾向にあります。一度愛用されてしまえば安定的な売り上げが見込める一方、買い替えが容易なだけに、突然売り上げを失ってしまう可能性もある変わった分野だと言えます。
かくいう私も、色々試すのが好きなので、メジャー製品に限らず色々使ってみたのですが、ボディソープや洗顔に使っているマジックソープがおすすめです。
国内だと、2019年4月頃謎の値上げが発生してしまったので、気に入った場合はAmazon.comあたりでまとめて買ったほうが安上がりです。
ヘルスケア
続いてヘルスケアです。イメージとしては救急箱の中に入っているものというところでしょうか。
ブランド名 | 商品種別 | 企業 |
バンドエイド | 絆創膏 | ジョンソン・エンド・ジョンソン |
体温計 | 体温計 | オムロン |
超快適 | マスク | ユニ・チャーム |
サンテ | 目薬 | 参天製薬 |
ロート | 目薬 | ロート製薬 |
パブロン | 風邪薬 | 大正製薬 |
コンタック | 風邪薬 | グラクソ・スミスクライン |
ベンザブロック | 風邪薬 | 武田薬品工業 |
ロキソニン | 頭痛薬 | 第一三共ヘルスケア |
イブ | 頭痛薬 | エスエス製薬 |
バファリン | 頭痛薬 | ライオン |
キャベジンコーワα | 胃腸薬 | 興和 |
太田胃散 | 胃腸薬 | 太田胃散 |
セイロガン糖衣A | 胃腸薬 | 大幸薬品 |
オロナイン | 軟膏 | 大塚製薬 |
日頃からなじみのある医薬品としては、目薬・風邪薬・頭痛薬・胃腸薬あたりでしょうか。
医薬品ですので、当然製薬メーカーが並びますが、グラクソ・スミスクラインやライオンは先ほどのトイレタリーに引き続きの登場となっています。
バンドエイドで知られるジョンソン・エンド・ジョンソンですが、一般向け商品としては花王やライオンに比べ知名度に欠けますが、事業全体で見れば売上800億ドルを超える、世界最大のヘルスケア企業となっています。1886年創業の歴史ある企業ですが、事業にかける信条(Our Credo)とともに、成長を続けています。
先ほど花王が30期連続増配であることに触れましたが、こちらは本家配当王として57期連続増配を達成しています。
この中で特に思い入れのある商品を述べれば、セイロガンとオロナインでしょうか。
先ほどのトイレタリー商品とは異なり、風邪薬などの医薬品を買うたびにコロコロ変える家庭が少ないものと思います。
そうした中で、各家庭における医薬品への信頼感が子々孫々と受け継がれていくものと思いますが、私の家ではセイロガンとオロナインに対する信頼感が非常に強かったことを覚えています。
洗剤
続いては洗剤です。洗濯洗剤や食器洗剤のほか、風呂用洗剤などの家庭用洗剤があります。
ブランド名 | 商品種別 | 企業 |
アリエール | 洗濯洗剤 | P&G |
アタック | 洗濯洗剤 | 花王 |
トップ | 洗濯洗剤 | ライオン |
レノア | 洗濯柔軟剤 | P&G |
FLAIR | 洗濯柔軟剤 | 花王 |
ソフラン | 洗濯柔軟剤 | ライオン |
キュキュット | 食器洗剤 | 花王 |
JOY | 食器洗剤 | P&G |
Magica | 食器洗剤 | ライオン |
マジックリン | 家庭用洗剤 | 花王 |
カビキラー | 家庭用洗剤 | ジョンソン |
一目見てわかるように、洗剤においては明確にP&G、花王、ライオンの三強の構図となります。
洗剤という意味ではどれも界面活性剤の商品ですので、必然的に強いメーカーが淘汰されていったということでしょうか。
さて、ここでまた目立っている企業としては、既に触れた花王とライオンはもとより、P&Gが目につきます。
花王とライオンは日本企業ですが、P&Gはアメリカの企業となっています。
P&Gも増配企業として有名であり、ジョンソン・エンド・ジョンソンをさらに凌ぐ63期連続の増配を達成してます。花王のさらに二倍ということですが、ここまでくると何が何だかわからないですね…。
ここで並んでいるP&G、花王、ライオンはともに事業領域がよく似ていることで知られています。だからこそこうやって競合しているわけですが、昨今の商品開発競争の結果、商品の質が確かに上がっていることを実感します。
その最たる例と思っているのが、いわゆる部屋干し対応洗剤です。部屋干し対応洗剤が一般化するまでは、生乾きのニオイがつくがゆえに、雨の日の部屋干しには嫌なイメージがありましたが、最近の洗剤では部屋干ししても何ら問題ないものが多く、むしろ部屋干しを標準としている家庭も多いのではないでしょうか。
我が家では色々試した結果、アリエールに落ち着きました。
洗剤本体に好感しているのももちろんですが、詰め替えの簡単さも地味に感動できる部分ですね。
その他家庭用品
最後は家庭用品です。他のものよりは消費スピードはゆるやかかもしれませんが、これらも確かによく目にしますね。
ブランド名 | 商品種別 | 企業 |
ファブリーズ | 消臭スプレー | P&G |
消臭力 | 消臭スプレー | エステー |
消臭元 | 芳香剤 | 小林製薬 |
クイックル | おそうじシート | 花王 |
サランラップ | ラップ | 旭化成 |
クレラップ | ラップ | クレハ |
Ziploc | コンテナ | 旭化成 |
リード | クッキングシート | ライオン |
製品としてちょっと毛色が違うため、メーカーが様変わりするのかなと思いきや、ここでもP&G、花王、ライオンの三社の名前が見えます。
この中では旭化成やクレハが少し毛色の違う企業といったところでしょうか。
ラップというものは、確かにマテリアル要素の強い化学製品であるため、洗剤や製薬とも違うことから、メーカーの並びとしては一線を画している感があります。
そうした旭化成やクレハにしても、日用品を取っ掛かりにしたBtoC事業を主力しているわけではなく、あくまでマテリアルメーカーとしてBtoBを主力とした事業展開を行っています。
旭化成といえば、2019年にリチウムイオン電池の功績によってノーベル化学賞を受賞した吉野さんの所属としても話題となりましたね。
- グループ理念(旭化成)
- 事業・製品
- マテリアル領域 / 住宅領域 / ヘルスケア領域
- 事業・製品
- 企業理念(クレハ)
- 事業・製品
- 機能製品事業 / 化学製品事業 / 樹脂製品事業 / 建設関連・その他事業
- 事業・製品
日用品分野の注目優待銘柄
さて、ここまでのように挙げていった企業のうち、各企業の優待に注目してみましょう。
トイレタリー
まずはトイレタリーからみてみましょう。
P&G、花王、ライオンの三社はもちろん、ユニ・チャームやトイレットペーパーの二社が含まれます。
企業 | 優待内容 | 株価 | 利回り(優待込み) |
大王製紙 | トイレットペーパーなど | 1,475円 | 0.71% |
ライオン | 洗剤など | 2,391円 | 0.87% |
期待に反して、優待を定めているトイレタリー企業はこの2社だけでした。
P&Gやグラクソ・スミスクライン、ユニリーバなどは海外資本なので、日本に上場していませんが、花王やユニ・チャームなどの日本企業であっても優待を定めていないところが多いようです。
微妙な好みの中で日々使うものである以上、メーカーで一括して優待を出すことが微妙なのかもしれませんね。
しかしそんな中では、大王製紙がエリエールブランドの各種製品を優待にしていたり、ライオンが洗剤製品を中心に優待を定めているのは独自性のあるところと言えるでしょう。
ヘルスケア
続いてヘルスケアです。こちらはトイレタリー以上に好き嫌いというか、そもそも好き嫌いで選ぶものでない以上、優待の期待は薄いですがどうでしょうか。
企業 | 優待内容 | 株価 | 利回り(優待込み) |
オムロン | ヘルスケア製品 | 6,140円 | 1.68% |
ロート製薬 | 美容製品 | 3,275円 | 0.76% |
大塚ホールディングス | ポカリスエットなど | 4,243円 | 3.05% |
やはり思った通り、優待が少ないですね。
優待を設定している企業をみても、薬品で優待しているわけではなく、ヘルスケア事業として展開する商品の優待を行っているようです。
オムロンでは毎年体温計とか血圧計などのヘルスケア製品から選んで優待がもらえるようですが、株主優待ページをみるとそこまで種類があるように見えないので、あまり毎年を楽しみにするようなタイプでもなさそうですね。
ロート製薬も、当然目薬を優待にしているわけではなく、シャンプーや美容液といった美容製品での優待がメインのようですね。1000株以上になると、自社製品以外のものも選べるようになるようですが、そこに魅力を感じるなら素直にカタログ優待の銘柄を選んだほうがよさそうです。
大塚ホールディングスは前回の食品編でも登場していますが、ポカリスエットなどの優待ですね。
洗剤
さて、続いては洗剤ですが、トイレタリー企業との重複が多いですね。
このカテゴリにおいて優待を出しているのはすでにトイレタリーでも紹介したライオンだけでした。
洗剤こそ定期的に優待されると嬉しいような気がしますが、このあたりは株主還元の考え方の違いでしょうか。
そもそも株主優待自体が日本独自の風習ですし、株主還元として配当が強く意識されるアメリカにおいて、増配を続けるP&Gやジョンソン・エンド・ジョンソンは株主還元を実践する代表的な企業と言えるでしょう。
その他家庭用品
最後に、その他家庭用品です。
企業 | 優待内容 | 株価 | 利回り(優待込み) |
エステー | 芳香剤など | 1,513円 | 3.04% |
小林製薬 | 芳香剤など | 11,180円 | 1.59% |
消臭力のエステーと、消臭元の小林製薬が優待を出しているようです。
内容的には似たようなものですが、株価を考えると優待目的だけで小林製薬に手を出すのはなかなか大変そうですね。
旭化成とクレハはもしかして、と思いましたがBtoB主力の企業としてはあまり優待を気にしていないのかもしれませんね。
あとBtoC製品に目を向けたとき、旭化成ではサランラップとZiploc、クレハではそれこそクレラップくらいしか優待にならなさそうなので、そうした優待バリエーションの低さも気にしているのかもしれません。
まとめ
さて、今回は食品編に続いて日用品編ということで、主要な製品と企業、およびその優待を調べてみました。
食品と同じく、企業競争力の基本が商品力にある中で、改めてP&G、花王、ライオンの強さを感じる結果となりました。
業態としてよくにている三社である一方で、売上高に目を向けるとグローバルで事業展開するP&Gに比べ、花王やライオンは日本と言う国で競争力をもっているに過ぎないと言えます。
これを現状の競争力として評価してもいいですし、世界で戦うP&Gと互角に勝負できているのだから、世界に強く打って出れば…という考えもあります。
このあたりはこの三社の事業計画などから分析してみたいものです。
そうした企業をみる観点で役に立った今回の調査ではありますが、記事タイトルにもある優待という観点では微妙な結果に終わったというのが日用品編の印象でした。
もちろん、株主優待が株主還元唯一の手段と言うわけではなく、今回調べた企業の多くは根本的な株価上昇や、増配を伴った配当などで継続的に株主還元を果たしています。
一口に株主還元と言っても、様々な形がありますし、優待という基本的には長期保有が前提となるものに魅力を感じるのであれば、なおさら「どのように継続的な株主還元を果たしていくのか」という点にも注意するべきでしょう。
今回は生活必需品という切り口で2回にわたって企業分析を行ってきましたが、主力製品とセットで企業を見ることは非常に面白いですね。
今回は製品企業だったので商品力やブランドが気になるところでしたが、サービス企業であればまた違うでしょうし、さらにはBtoB企業であれば全く違った調べ方が必要かもしれません。
今後はそのような別分野での調査もしてみたいと思いつつ、今回はこのあたりで記事を終えたいと思います。