書評: 未来まで生きるブログ。滅びるブログ。

自分はなぜブログを書いているか、どういうスタンスでブログに取り組んでいくか、これからのブログに対するスタンスを問うていく本。

オススメ対象者

この本でまず最初に思うのは、「未来まで生きるブログ。滅びるブログ。」というインパクトあるタイトルだと思います。

実際、この本に書かれている内容はまさにそのタイトルの通りで、昨今の流行り廃りを乗り越え、この先も価値を出し続けられるブログとはなんなのかという内容です。

きっとこのタイトルに惹かれる方は、少なからずブログの生存戦略に思うところがある人だと思いますが、この本をオススメしたいのは、中でも

  • 自分がブログで情報発信する意味・意義に確信が持てていない人

だと思います。

詳しくは後述しますが、この本で述べていることは、そうした「自分にしか出せない価値」をいかに見定め、軸としていくかということなので、そこに迷いがある人にこそ読む価値があると感じました。

未来まで生きるブログ。滅びるブログ。
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概要

この本の著者、小川善太郎さんは自身もブロガーとしていくつかのブログを手掛け、その中で月間150万PVを達成したこともある方です。

また、自身の体験から得られた学びを他のブロガーへコーチングすることで、そうした人たちもブロガーとして成功へ導いています。

そうした小川さんが考えた内容がこの本に詰まっていますが、この本が強調するのは、実際に立ち上がったブログのアクセスをいかに高めるかという実学的で特効薬的なものではなく、そもそも自分自身がどうブログに向き合っていくべきなのかという根本的で本質的な側面です。

その観点から、この本は明日明後日の生存戦略ではなく、この先もずっと「生きるブログ」であり続けるための軸を示しており、私自身も共感できる部分がたくさんありました。

では、中でも印象深かったところをいくつか紹介したいと思います。

これまでのブロガー

まず最初にこの本で触れているのは、「これまで」という観点です。

これまでのブログ界隈ではインターネット上での広告市場が拡大していくに併せ、その数も増え、成功体験も多く聞こえるようになってきました。
そうした成功体験とともに、成功へのノウハウ情報も展開され、「半年で稼げる!」などの謳い文句とともに、高い注目を集めました。

そうした短期間での成功をも可能にする方法論の特徴として、「大きな波に乗る」ことが主眼に置かれていました。
クリックしてもらいやすくなるべく、目に付きやすいタイトルをつけるだとか、Googleなどの検索から大きな流入を得るべく、あの手この手でSEO対策を施すとかいうものです。

しかし、日々移り変わるインターネットの世界においては、そうした周囲に合わせた戦略をとることは、短期的な成功を生む一方で、ひとたび環境の変化が起こった際には非常に打たれ弱い側面を持っています。
実際に、Twitterなどを見ていると、Google検索アルゴリズムの変更により突如サイトへのPV傾向が変わり、収益が低下したと嘆く方を見かけることは少なくありません。

同様に、小川さん自身の体験としても、少し前まで「成功」していたブロガーたちが、徐々にいなくなっていくなど、その厳しい現実を目の当たりにしてきたと書かれています。

これからのブロガー

それでは、「これから」のブロガーはどのようになっていくべきなのでしょうか。

その鍵となるのが、AIライターの存在だと小川さんは触れています。
AIが文章を書けるということは、既にわかってきていることですが、実際に出版社がAIライターを利用していることもあり、ブロガーが扱うような内容を、高品質に、タイムリーに生み出してくる未来がすぐそこに近づいてきています。

そうしたとき、AIライターに生身の人間は敵うのでしょうか?

AIと全く同じ土俵で人間が戦ったものの代表格は囲碁やチェスといったゲームの世界でしょう。
2016年にGoogleが開発したAlphaGoというプログラムが、世界王者を破ったことはとても話題になりましたし、その後ゲームAIの世界では、人間の指し手を一切必要とせず、ルールのみで自分を強化していくAlphaZeroがその上をいく始末です。

このことを思えば、人間がAIライターに同じ土俵で勝てる可能性はないと言って間違いないでしょう。

将来的にはAIは作曲したり、車の運転をしたり、小説を書いたりするようにもなると言われています。
人間の感情パターンも理解して、芸術のような高度な創作活動もできるそうです。
すごいですよね。

ということは、Googleに上位表示させるためのSEOライティングは小説よりももっとテクニカルな分野ですから、あっというまにAIができるようになるはずです。
キュレーション記事なんかすぐに書けるようになるでしょう。

AIライターの台頭 より

だとすれば、「土俵を変えればいい」「競争をせず共生していけばいい」というのが小川さんの考えでした。

コンテンツに自分の軸を重ねていく

AIとは異なる土俵へ自分の活動をシフトし、AIと共生していくには何をすればよいのでしょうか。

そのためには「自分軸」が必要であると小川さんは述べています。

そのためには自分軸を打ち立てなければいけません。
同じコンテンツを作るにしても、そのコンテンツの中身の背景が変わると、同時に情報の伝わり方も変わります。
これを意図的に行うことで、あなただけの土俵を作ることができるのです。

なぜあなたがそのコンテンツを作るのか。

これは理念ともいわれますし、ポリシーとも言われますが、ここをはっきりとブログに書いておくことで、あなたのファンを作ってしまえば、そこがまさにあなたの土俵になります。

これからは自分軸で勝負する時代へ より

同じものが並んでしまうと、当然より質のいいほうにユーザは流れていきます。
単に情報を収集し、まとめただけのキュレーション記事を書いていては、あっという間にAIとの競争に晒され、敗れてしまうことでしょう。

しかし、そうしたコンテンツに、自分にしか出せない価値観や背景を組み込んでしまえば、たちまち自分だけの土俵にコンテンツを乗せることができるというわけです。

このことを聞くと、「そんな都合のいいことを…」と思ってしまうかもしれませんが、そうした土俵が存在すると考え、そこに向かう第一歩がまず大事だと続くパートで触れています。

難しく考えてしまう人には共通点があります。
それは、あなた自身で自分の経験なんか大したことない、とか、自分の感情なんてどうせ分かってもらえないし、とか、自分自身を大事にできていないような場合です。
自分の価値を自分で認めることができなければ、なかなか自分軸を作るのは難しいからです。
どんな人のどんな経験にもオリジナルな価値があることを、まずは認める必要があります

これからは自分軸で勝負する時代へ より

生き方と組み合わせる

これからのブロガーに重要な、自分軸の第一歩として、小川さんはプロフィールページの重要性を述べています。

・あなたはなぜブログを書いているのか
・どういう思いでそのブログを書いているのか
・読者に何を伝えたくてそのブログを書いているのか

ブログにプロフィールページを作ろう より

このようにして自分軸を表明し、コンテンツに背景を持たせることで、より読者に響く、オンリーワンな内容に進化していくというわけです。

このサイトにはプロフィールページはありませんが、これとほぼ同様の内容を「このサイトについて」で、ブログ開設のきっかけやブログを通じてやりたいことをまとめています。
確かにこれが自分軸になっているとは思いますが、プロフィール部分の記載とか、改めてこの自分軸を見直しておきたいと思いました。

自分の王国を作る

最後に、そうやって自分軸を中心にした、自分にしか出せない価値をもったコンテンツとともに、「自分の王国」を作ろうと締めています。

「自分の王国を作る」とは何かというと、要するに自分のファンを増やしていくということです。

この本の中でも、

あなたは学生時代に、ある先生から叱られたら素直に受け入れるが、また別の先生から叱られたら「なんであいつから言われないといけないんだ」と反発したことはありませんか?

学生時代だけではなくて、社会人になってからも、まったく同じことを言われているのに、この人から言われたらすごく納得できるが、別の人から言われてもまったく説得力を感じない、というふうに感じてしまうことがきっとあると思います。

そのコンテンツは「誰が」作ったのか より

顧客との信頼関係ができていれば、提案が意味不明でも、セールスコピーがなくても、「あなたがすすめるなら間違いないんでしょ?」という理由だけでお金を払ってくれる状態を作れるのです。

生き方でつながると一生の付き合いになる より

という話とともに、「誰が作ったコンテンツか」ということがいかに重要かということに触れています。

そしてそのような状態になってしまえば、もはやコンテンツの価値そのものではなく、あなたが生み出したコンテンツであること自体に価値が生まれてくるというわけです。
ここまでくれば、たしかに自分が王様で、自分のファンが国民で、という「自分の王国」と読んで差し支えない状態ですね。

ただし、誰もがこの王国に入ってくれるわけではなく、

この王国に入ることができるのは、あなたの生き方や未来のビジョンに賛同する人だけですから、馬が合う人だけです。
生き方でつながることでこのような理想の王国を築き上げることができるのです。

生き方でつながると一生の付き合いになる より

というわけなので、やはり自分軸を打ち出し、その軸に共感してくれる人との接点を確実に得ていくことがこれからのブロガーには重要だという結論です。

まとめ

この本に限らず、ブログに関する本を私が手に取るのは、少なからずこのブログを通じてマネタイズし、収入を得てみたいという思いによるものです。

ブログの成功技術を謳ったものや、SEOのテクニックをまとめた本もいくらか読んでいますが、正直なところ、「理屈はわかるが、あまり好きになれない」というのが率直な感想でした。

SEOを最たるものとして、「読者が知りたい情報を推測し、そこに特化した記事を書く」「読者の思いに寄り添えるようにキーワードプランニングを行う」といったテクニックがよく聞かれます。

以前、 Googleの使命からSEOを考える記事 を書いたことがありますので、そうしたSEOのテクニックが理にかなったものであると理解はしています。
しかし、その道からはどうしても「自分が書きたいもの」が外れていくように感じてしまうのです。

私自身、ブログをはじめるにあたって強く思っていたのが「お金に関する自分の疑問を解決したい」ということです。
やはりこのブログのテーマは、「自分が疑問に思ったこと」だと思いますし、それを差し置いて「他人が疑問に思うこと」を主眼に置いて記事を書いていくのも、それは自分のモチベーションとは異なるものです。

そうしたことは重々理解していたので、「あまり自分はブログによるマネタイズには向かないのだろう」と思ってはいましたが、この本を通じ、そうした自分軸をはっきりと持ち、それを貫くというのも一つの価値なんだと信じられるような気がしてきました。

今後、本当にこのスタイルを貫くことが価値あるコンテンツに繋がっていくのかはわかりませんが、やはりいま時点でモチベーションのあるこの道で、当分はブログを続けていきたいと思いました。

未来まで生きるブログ。滅びるブログ。
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参考記事

ブログに関する本を読んでいく中で、読者目線を大事にしすぎず、自分らしさを大事にするという点ではこの本も印象的でした。