資産形成に大事なのは収入か?支出か?

資産形成を行っていく中で、たびたび話題に上がるのが「収入を高めること」「支出を抑えること」このどちらが大事なのかという話です。

もちろん、どちらもやるに越したことはないのですが、強いて言うならという観点で、少し考えてみたいと思います。

資産形成について

収入と支出のことを考える前に、今回のゴールである「資産形成」ということに目を向けてみましょう。

資産と資金

資産と資金、似ているようで少し違う言葉ですが、その違いはなんでしょうか。

資産【しさん】
1 個人または法人の所有する金銭・土地・建物などの総称。財産。
2 企業会計で、貸借対照表上の流動資産・固定資産・繰延資産をいう。

goo辞書「資産」 より

資金【しきん】
1 事業の元手や経営のために使用される金銭。もとで。「営業資金」「資金難」
2 特定の目的のために用意され使われる金銭。「住宅資金」「育英資金」

goo辞書「資金」 より

資金は特に金銭のことを指していますが、資産はそれを含む金銭的価値があるもの全てを指していますね。

また、資金では特に用途を意識するところですが、資産それ自体に用途の意識はないというところも特徴だと言えそうです。
確かに、資金という言葉は人生の三大資金などとして、「住宅資金」「教育資金」「老後資金」などと言われますので、確かに用途との結びつきが強そうです。

そうしたことを踏まえると、資産というものは「用途を定めていない金銭的価値があるもの全体」を指すと考えられるでしょう。
要するに「どんな可能性にでも使えるお金」ということで、転ばぬ先の杖的な側面もあるのかもしれません。

資産形成と資産運用

もう一つ、資産という言葉とセットで気になるのは「資産形成」と「資産運用」です。

こちらも言葉の意味を調べてみると、

形成【けいせい】
一つのまとまったものに作り上げること。形づくること。「人格を形成する」

goo辞書「形成」 より

運用【うんよう】
 そのもののもつ機能を生かして用いること。活用。「法規の運用を検討する」
 自衛隊で、行動の意で使う。「陸海空すべての部隊運用の権限が新設された統合幕僚監部へ移った」

goo辞書「運用」 より

という違いになります。

これを見ると資産のない状態から、資産をまず作り上げていく資産形成と、既に存在する資産を上手く使っていく資産運用の違いがはっきりしますね。

人によっては、資産形成を「増やす活動」、資産運用を「減らさない活動」と捉え、攻めと守りのセットとしている場合もありますね。攻守どちらも必要なことなので、単なる順序性だけでなく、ペアであることも含めて認識することも大事でしょう。

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資産形成のゴール

さて、資産そのもの意味や関連語の意味を踏まえて、資産とは単なる金銭に留まらない、使途を定めない金銭的価値あるものだということがわかりました。

それでは、この資産を得る活動である、資産形成のゴールはなんでしょうか。

資産の大きさ

例えば、「大きな資産を築くまで」というゴールだとしたとき、その大きさの目安になるものはなんでしょうか。

私はその尺度として、「自分が扱っているお金の量」が最も影響力の大きい基準になるのだと思います。

例えば、自分が今年間で200万円しか使っていないとした場合、1億円は「50年間何もしなくても生きていけるお金」という見え方をします。
一方で、年間で1億円使っていたとしたら、1年分にしかなりません。

仮に「50年間何もしなくても生きていけるお金」を大きな資産の定義にするとしても、人によってその額は異なっていることになります。

支出とゴール水準の関係

こうしたことから「お金持ちになって、働かずに暮らしていきたい」という願望があり、それを叶えるに値する資産の量は、その人の支出や支出イメージに従って測られるものということがわかります。

そのため、ゴールを定めて資産形成をはじめたとしても、資産の積み上がりに伴って支出を増やしていってしまうと、場合によっては一生ゴールにたどり着けない可能性すらあるということです。

しかし、これは逆に支出を抑えるようにすれば、資産の積み上がりとはまた別に、ゴールに近づくことに繋がるわけですね。

資産形成に重要なこと

さて、もうほとんど重要なことは言ってしまっていますが、こうした考えから私は資産形成に大事なのは支出だと考えます。

資産形成活動の中で、支出は2つの意味を持ちます。

  • 支出を下げる
    • ゴール水準を下げる(ゴール達成を近づける)
    • 投資余力を高める

ゴール水準の観点は先に触れたとおりですが、資産形成に向けた投資余力のことを(収入)-(支出)だとするなら、投資余力の高まりも効果になります。

同様の観点を収入に関して言えば、以下の表にまとまります。

支出を上げる支出を下げる収入を上げる収入を下げる
ゴール水準上がる下がる変わらない変わらない
投資余力下がる上がる上がる下がる

この表を見ると分かる通り、支出を下げることはゴール水準と投資余力の両面にプラスですが、収入を上げることはゴール水準に影響せず、投資余力のプラスにしかならないということです。

資産形成のゴールに向かうにあたり、収入を増やして入金力を上げることの重要さも重々承知の上ですが、収入の高まりに比例して支出も同レベルに増えていくようでは結局何も変わらないことになりますので、「いかに支出をコントロールするか」が資産形成に大事だと感じました。

コントロールのしやすさ

支出が大事だと考えるのは、資産形成に対する作用の仕方を踏まえてのことですが、他の理由として、コントロールのしやすさを挙げておきます。

細かい事情を抜きにして言えば、支出というものは自分の行動や考え方でほとんどいかようにもコントロールできます。今日の昼ごはん、趣味の買い物、少し大きな話では住む場所など、自分の選択の積み重ねが支出となるからです。

その一方で、それに比べれば、収入をコントロールするのは自分一人の力ではなかなか難しいものだと感じます。
会社からもらう給料はもちろんのこと、社会的な景気の善し悪しにも左右されるので、「よし、収入を上げよう!」と思ってなんとかなるものではないですし、自己投資のような手段で上げることを狙っても、成果が出るにはそれなりの時間がかかってしまいます。

そうしたことを考えると、支出のコントロールを行うほうが確実であり、活動の実感や成果が得られやすいと思っています。ちょっと雑に言ってしまえば、「収入のコントロールには骨が折れる」ということです。

なので、第一に支出のコントロールに取り組み、それが十分であれば収入のコントロールに力を割いていけばいいと私は考えています。

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まとめ

ありがちなテーマとして「収入か、支出か」ということを考えてみました。
もちろん、「攻め」と「守り」のような話と同様、究極的にはどちらも重要なのは言うまでもないですが、あえてどちらが重要かと言われれば支出だというのが私の結論です。

また、収入と違って支出がコントロールしやすいという話もしましたが、「支出のあり方」を考えると、結局は「自分が欲しいもの」と向き合うことになると思います。
いい車が欲しいから500万円貯めようだとか、いい家を建てたいから5,000万貯めようとか、そういった目標を認識する効果も支出のコントロールにはありますね。

自分が何を欲しいのか理解し、その目標に向かって資産形成をしていくという一連の活動を考えれば、その中では支出のことがより重要だと考えられるのではないでしょうか。

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参考記事

資産形成において支出が大事だとしたとき、「支出がいくらであるのか」を把握することは非常に大事です。

その中で、最近の家計簿アプリは労力の削減や情報の使いやすさで絶大な効果を発揮しますので、支出コントロールには欠かせないツールだと思います。

支出をコントロールしながら、効果的に、現実的に資産形成をしていく方法として「収入の○%を貯蓄にまわす」という天引き貯蓄の方法があります。
こうした天引き貯蓄の重要性は古くから指摘されており、今なお価値が認められているものですので、手段としてオススメです。
天引き貯蓄の重要性を語った書籍としては以下のようなものがありますので、より深く知りたい方はぜひ読んでみてください。

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