2020年9月1日のスタートに先立ち、7月1日から申し込みが始まったマイナポイントですが、普通にしているだけでは制度主旨や意義がよくわからないので、そのあたりを調べてみました。
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マイナポイントとは
マイナポイントとは、総務省が推進するマイナポイント事業において付与されるポイントのことです。
マイナポイント事業は、マイナポイントの活用により、消費の活性化、マイナンバーカードの普及促進、官民キャッシュレス決済基盤の構築を目的とする事業です。
マイナポイント事業「事業概要」 より
なお、制度の詳細については、今後変更になる可能性があります。適宜本ホームページで公表します。
総務省がこのマイナポイント事業で目指すところは、
- 消費の活性化
- マイナンバーカードの普及促進
- 官民キャッシュレス決済基盤の構築
です。
要するに、「国として推進したいことのため」のキャンペーンですね。
消費の活性化
まず1つ目の目的として消費の活性化が挙げられています。
これは、2019年10月の消費税増税に伴い、消費の落ち込みが懸念されているところですが、マイナポイント事業で還元される「1人あたり最大5000円分のポイント」を目玉として、消費の活性化を狙うということですね。
消費税増税による消費落ち込み対策としては、6月30日をもって入れ替わるように終了したキャッシュレス・ポイント還元事業が記憶に新しいですが、このマイナポイント事業でも同様の目的をもっています。
ちなみに、このキャッシュレス・ポイント還元事業の還元実績としては、2019年10月1日~2020年3月16日までの約5.5か月で2980億円となったようです。
マイナンバーカードの普及促進
2つ目がマイナンバーカードの普及促進です。
経済産業省が旗振りをしていたキャッシュレス・ポイント還元事業に対し、マイナポイント事業は総務省が管轄しています。マイナンバーをモチーフとした事業名も合わせると、今回の主眼はマイナンバーカードの普及促進にあると考えてよいでしょう。
2016年からマイナンバーの運用が始まってから4年が経過していますが、多くの人は未だ本人確認書類にはなれない通知カードのままであり、ICチップを搭載したマイナンバーカードの普及はいまひとつな状況が続いていました。
ただ、「マイナンバーカードがないと困る」というケースはあまりなく、そうしたメリットのなさがマイナンバーカードの普及を妨げていました。
そうした一方で、政府としては行政手続きの効率化などを目指し、マイナンバーカードの普及を後押ししたいことから、わかりやすいメリットとして金銭的還元を柱とするこのマイナポイント事業を立ち上げた側面があります。
また、実際にマイナポイントの申請を行うと、来春からはじまる健康保険証との一体化も流れで申請できるようになっており、今後さらにマイナンバーカードの活用が展開されていくものと考えられます。
官民キャッシュレス決済基盤の構築
3つ目がキャッシュレス決済基盤の構築です。
まず、基本的な考え方として、政府は現在キャッシュレス化を推奨しています。
少子高齢化に伴い、国内の消費が漸減傾向にある中で、今後の日本経済では外国からのインバウンド需要を取り込んでいくことが重要になります。
しかし、インバウンドの取り込みにあたっては、現金を中心とする日本の決済基盤がその妨げになっていると言われており、今後の日本経済を活性化するためにも、国としてキャッシュレス決済基盤を整備していく必要があるということです。
そうしたときに、インバウンドを意識しているとはいえ、やはり基盤となるのは国民一人ひとりの決済行動であるため、国民全員を対象としたキャッシュレス化政策を次々と打ち出しています。
また、キャッシュレス決済基盤の構築にあたっては、キャッシュレス決済端末の導入費が中小規模の事業者には重荷であることがわかっているため、利用者向けの還元とセットで、事業者向けの補助制度も実施されています。
マイナポイントって申し込んだほうがいいの?
さて、こうした背景を踏まえた上で、「マイナポイントを申し込むべきか」という質問に答えるなら、答えは当然Yesです。
マイナポイントへの申し込みにより、1人あたり最大5000円分のポイント還元が受けられますので、その時点で十分メリットが感じられると思います。
さらに言うと、マイナポイントの申し込みには大きく3つのステップがありますが、
- マイナンバーカードの発行
- キャッシュレス決済の申し込み
- マイナポイントの申し込み
これらを含めて、やってないものがあるならこの機会にやったほうがいいと考えています。金銭的メリットもありますし、一石二鳥です。
それぞれ色々語ることはできますが、マイナポイント申し込みとセットになるマイナンバーカードの発行やキャッシュレス決済の利用メリットを端的に述べるなら以下のようになります。
- マイナンバーカード
- コンビニでの住民票発行などができる
- 行政手続きが簡略化される
- 保有に関してコストがかからない
- キャッシュレス決済
- 現金に比べ、決済が簡単になる
- 現金とは異なり、多くの手段で金銭的還元が受けられる
基本的にメリットはデメリットとセットになることが多いですが、国という大きな存在が長期的にメリットを得たいための施策であるため、「国のメリット」「個人のメリット」が相反するものとならないことがポイントです。
政府としてはお金を払ってこんなことをやるわけですが、将来的な行政手続きの簡略化やインバウンド需要を見越してのことですから、日本そのものに投資をしているわけですね。
マイナポイントのデメリット
さて、個人的にデメリットがないと思っているマイナポイントですが、一応ググってみるとデメリットを指摘する人がいます。
メリットを推す以上、そちらを無視するわけにもいきませんので、代表的なデメリットをみてみましょう。
マイナンバーカードを持つことで、個人情報漏洩の危険性がある。
まず整理しなければならないのは、マイナンバーカードを持つことと、マイナンバーで個人情報が管理されることは別であるということですね。
既に全国民にマイナンバーが通知されているように、マイナンバーによる個人情報管理は始まっています。
そのため、マイナンバーという仕組みそのものに危険があった場合、確かに個人情報漏洩の危険はあります。
ただこのマイナンバーそのものに潜む危険性は、本人がマイナンバーカードを持っているかどうかとは一切関係がありませんので、この指摘は的外れです。
ただ一つ、それに近しい点があるとすれば、「マイナンバーカードという重要な個人情報カードを新たに持つこと」があります。
運転免許証が重要な個人情報カードである以上に、マイナンバーカードは様々な情報に紐づくものです。
ですので、現時点で持っている通知カードに比べれば、確かにマイナンバーカードを紛失したリスクは格段に上がるため、そのことを指して「個人情報漏洩の危険性がある」とするのは間違っていないでしょう。しっかり管理しましょうね。
気軽に使えるキャッシュレス決済によって、使い過ぎを助長してしまう危険性がある。
これは、「そうですね」という感想です。
端的に言えば、現金であろうとキャッシュレスであろうと、生きていく上でいくらかの決済は必ず必要になります。
そうしたときに、キャッシュレス決済であれば金銭的還元が受けられ、間違いなく金銭的メリットが存在します。
しかし、キャッシュレスにしたことで使い過ぎてしまうのは人それぞれとしか言いようがないため、こうした点からデメリットだと認識する人がいるのは事実だと思います。
まとめ
今回はまずマイナポイント事業そのものについて調べてみました。
キャッシュレス・ポイント還元事業に続く施策であり、その背景としてマイナンバーカード普及の狙いやインバウンド需要取り込みに向けた国としての大きな投資となっている側面が見えてきます。
もちろん、そうした国家レベルの大きな話にはピンとこないという人が大半だと思いますが、金銭的メリットばかりが目立つこうした取り組みにあっても、それ以上の長期的なメリットが国にあるということです。
メリットしか見えないと、それはそれで不安になりますが、怪しいキャンペーンではありませんので、安心して利用するのが自分のためにも、国のためにもなると思います。
次回は、実際にマイナポイントを申し込むとき、どんなことを考えればよいのかということを具体的に考えてみたいと思います。