個別株の高騰でETFはどれくらい値上がりするのか?(AAPL/TSLA/ZM編)

昨日今日と米国個別株が大きく動きましたね。
インデックス投資をやっているとそういった個別動静にはほぼ無縁ではあるのですが、やはり高騰する株を見て思うのは「あれを持っていれば…」ということです。

しかし、そんな個別株の動静と決別したインデックス投資家でも、実はインデックスの中にその成分が含まれているので、今日はその影響をみてみましょう。

対象の株とETF

今回の調査では、「個別株の大きな値動きで、それを含むETFはどれくらい値上がりするのか」ということを調べたいと思います。

今回対象とする株は

  • AAPL
  • TSLA
  • ZM

の3種です。

アップル(AAPL)は泣く子も黙るGAFAの一角です。
この記事を書いている2020年9月1日現在で、5,600億ドルを超える時価総額を持っています。

テスラ(TSLA)はイーロン・マスクでおなじみの電気自動車メーカーですが、2020年はトヨタの時価総額を抜いたとして話題になりました。
こちらは現在4,600億ドル。なんか印象よりずいぶん大きくなってますね。

Zoom(ZM)はコロナ銘柄として注目を浴びたビデオ会議ツールの企業です。
ロックダウンとか在宅とか、移動が制限されるほどに利用者数を伸ばし、年初来で10倍以上にユーザ数を伸ばしたと言われています。

ETF

では、そんな株を横目にインデックス投資家おなじみのETFを並べてみましょう。

  • VOO
  • VTI
  • VT

もはや説明は不要だと思いますが、米国株500種のVOOと3500種のVTI、世界株8000種からなるVTです。

組入比率

というわけで、今回取り上げる3種の株と3種のETFについて、それぞれの組入比率をクロスでみてみましょう。
組入比率はバンガードホームページから、2020/7/31付のデータを引用しています。

VOOVTIVT
AAPL6.377%5.134%3.106%
TSLA0%0.657%0.378%
ZM0%0.125%0%

こうなりました。
VTIが唯一3種ともに含んでおり、VTが2種、VOOが1種となっていました。

VOOはS&P500連動として大型株を対象としているため、急成長したTSLAやZMはまだ対象となっていないということですね。
米国大型株を主眼に置けば大差ないとも言われるこの3種ですが、今回の着眼点においてはファンドの性格がよく出ています。

値動きシミュレーション

それでは、この比率に従ってどれくらい値動きがあるのかを見てみましょう。

イメージしやすくするため、各ETFを100万円分持っていたら、という想定にします。

各株の値動き

対象となる株の値動きを見てみましょう。
ここ半年という意味で、2020年2月末から8月末の値動きを見てみます。
この期間中でAAPLとTSLAは株式分割していますが、分割後の水準で2-8月を表現しています。

2020/022020/08値動き率
AAPL$68.34$129.04+89%
TSLA$133.6$498.32+273%
ZM$76.37$325.1+326%

なんというか、すごいですね。

これらの企業が時価総額で1兆円を超える大企業であることを考えると、日本株では考えにくい米国株のドリームを感じます。

ETF別の影響度

各株の値動きと、各ETFへの組入率から100万円に対する値動きをみてみます。

VOOVTIVT
AAPL+12.04万円+9.69万円+5.86万円
TSLA+0.00万円+2.45万円+1.41万円
ZM+0.00万円+0.53万円+0.00万円
+12.04万円+12.68万円+7.27万円

ということになりました。
基準を100万円にしているので、トータルで+10%前後の恩恵をETFにおいても受けられているということです。なかなかですね。

一応3種ともに含んでいるVTIがトータルの値動きでトップですが、組入比率の問題で1種しか含んでいないVOOも同等の値動きをしています。
そういう意味では8000種からなるVTがやはり一番控えめですね。

TSLAとZMの値動き率は眼を見張るものがありますが、とはいえ組入比率がさほど高くなっていないため、全体への寄与が大きくなっていないという結果でした。

参考: この3種を含むETF

今回比較したものの中ではVTIが唯一3種の株を含んでいましたが、他にそんなETFはないのでしょうか。

便利なことに、このサイトを使うと特定の株式を含むETFの一覧を抽出することができます。
組入比率もセットで見られるので、非常に便利です。

ここのサイトを使って、AAPL/TSLA/ZMを含むETFの集団を抜き出してみました。

やはりAAPLが279ETFに組み入れられており、最も多いですね。
とはいえZMもそれなりにあるので、選択肢に悩むってほどでもなさそうです。

このうち、中心にある63ETFがこの3種を含むETFです。

これらのETFのうち、合計の組入比率が大きいものをみてみましょう。

ティッカーETF名AAPLTSLAZM合計
1SFYFSoFi 50 ETF10.26%10.71%2.12%23.09%
2QYLDGlobal X NASDAQ 100 Covered Call ETF14.54%2.79%0.38%17.71%
3QQQInvesco QQQ Trust13.79%2.70%0.36%16.85%
4NUSINationwide Risk-Managed Income ETF13.82%2.63%0.36%16.81%
5PTNQPacer Trendpilot 100 ETF13.79%2.60%0.36%16.75%
6IWYiShares Russell Top 200 Growth ETF14.03%1.79%0.31%16.13%
7TMFCMotley Fool 100 Index ETF12.74%1.79%0.45%14.98%
8IWFiShares Russell 1000 Growth ETF11.63%1.48%0.26%13.37%
9MGKVanguard Mega Cap Growth ETF11.39%1.28%0.16%12.83%
10ONEQFidelity NASDAQ Composite Index Tracking Stock10.40%1.32%0.28%12.00%
39VTIVanguard Total Stock Market ETF4.63%0.52%0.13%5.28%
63ONEOSPDR Russell 1000 Momentum Focus ETF0.16%0.04%0.04%0.24%

うーん、これは困りましたね。
上位10位ではQQQとIWF以外わからない笑

今回はひとまずここで終わりにしますが、3種合計23.09%で1位となっているSFYFが何者なのかはちょっと気になりますね。
名前を見るとなんらかの50種でできているような気がしますが、どういう思想で集めた50種だとAAPL/TSLA/ZMが入るのか、考えただけではピンときません。

これらのETFはまた別の機会に調べてみたいと思います。
ちなみに、VTIは合計でも5.28%で、こうみるとずいぶんマイルドに見えますね。

まとめ

改めて計算してみると、やはり界隈で大騒ぎされるような存在感のある株であれば、それなりのETFが知らず知らずのうちにそれを組み入れてしまっているようです。
そのため、個別株をダイレクトに持っているほどではないにせよ、それなりに値上がりの恩恵を受けられていることがわかりました。

とはいえ、特に大型の500種を厳選するS&P500連動のVOOは界隈の盛り上がりに付いてこられないときがあるようなので、そのあたりはETF選択の好みにもよりますね。
ただ、結局は時価総額加重で合理的に組成されているため、ETFを持っている上でのパフォーマンスは過去比較した上でも大差ないというのは、こうした高騰銘柄の存在を認めても、長期的にはそうなんだと思います。

個人的には、こういった名実ともに “代表的な大型株” に入る前の成長も享受しておきたいという点でVTI派をやっていますが、今回はその考え通りに3種が含まれていてある意味満足しました。

あと、米国株ETFの内容を見るのが趣味だと思っていたんですが、全然知らないETFと今回出会ってしまったので、これらについても調べておきたいと思いました。

参考記事

今回は3種の株を含むETFの状況を可視化するために、先日覚えたばかりのベン図を使ってみました。
元々は「ETFが含む株式の重複具合」を見てたのですが、今回やったような「株式を含むETFの重複具合」を見るのも面白いですね。