主な全世界株式の投資信託を比較する(Slimオールカントリー/楽天VT/ほか)

投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2019 そして 2020 に2年連続でeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)が1位に選ばれるなど、最近注目を集めているのが全世界株式に対するインデックス投資です。

10年ほど前でみても日本におけるインデックス投資そのものが手段に乏しかったところ、投資信託やETFなど最近では複数の手段が出てきていますので、それぞれの特徴を並べて比較してみたいと思います。

全世界株式への投資

株式への投資を考える時、「どの地域に投資するか」というのは重要な観点です。
ここ10年は米国への投資が実績としては優れていましたが、長期的には波があるため、地域レベルで再考すべきときがくるかもしれません。

そうしたときに、ある意味究極の株式投資を言えるのがこの全世界株式投資です。

全世界に限らずインデックス投資を実践するには実質的に投資信託やETFなどの商品を介して運用会社の力を借りざるを得ませんが、2018年にeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)が設定され、投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year2019年と2020年に2年連続で1位に輝いたことで一層注目を集めることとなりました。

実際には、この他にも全世界株式に投資できる商品が以下のように複数ありますので、今回はこれらをいくつかの観点で比較していきたいと思います。
なお、全世界株式の商品名は往々にして長いので、以降は略称で記載します。

種別商品名運用会社設定日略称
投資信託eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)三菱UFJ国際投信2018/10/31Slimオールカントリー
投資信託楽天・全世界株式インデックス・ファンド楽天投信投資顧問2017/09/29楽天VT
投資信託SBI・全世界株式インデックス・ファンドSBIアセットマネジメント2017/12/06SBI雪だるま
ETF(日本)1554: 上場インデックスファンド世界株式(MSCI ACWI)除く日本日興アセットマネジメント2011/03/08MSCI世界株
ETF(日本)2559: MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信三菱UFJ国際投信2020/01/09MAXIS全世界
ETF(米国)バンガード・トータル・ワールド・ストックETFバンガード2008/06/26VT
ETF(米国)iシェアーズ MSCI ACWI ETFブラックロック2008/03/26ACWI
スポンサーリンク

各商品の比較

それでは、各投資商品を比較していきます。

各商品をそれぞれに比較するよりは、まず同じ枠組みに並べたほうがいいと思いますので、まずは

  • 信託報酬
  • 純資産総額
  • ベンチマーク
  • 分配金実績
  • 設定日

を並べてみましょう。純資産総額などは2021年5月31日時点の情報です。

Slimオールカントリー楽天VTSBI雪だるまMSCI世界株MAXIS全世界VTACWI
商品種別投資信託投資信託投資信託ETF(日本)ETF(日本)ETF(米国)ETF(米国)
信託報酬0.1144%0.212%0.1102%0.165%0.0858%0.08%0.32%
純資産総額1,822億円965億円238億円57億円74億円23,358億円18,752億円
ベンチマークMSCI ACWIFTSE GAIFTSE GAIMSCI ACWI ex JapanMSCI ACWIFTSE GAIMSCI ACWI
分配金実績なしなしなしありありありあり
設定日2018/10/312017/09/292017/12/062011/03/082020/01/092008/06/262008/03/26

このようになりました。商品7つに対して、登場するベンチマークは以下の3種類でした。いずれも時価総額加重平均型のインデックスです。

ですので、ここから先は

  • 商品種別による違い
  • 信託報酬と規模の違い
  • ベンチマークの違い

の観点を順に整理していけばよさそうです。

商品種別による違い

比較する7商品における商品種別は以下の3つです。

  • 投資信託
  • ETF(日本)
  • ETF(米国)

これらの違いが何に繋がるかという点ですが、

売買のリアルタイム性
  • ETFの売買はリアルタイム、投資信託は1日遅れ
  • ただし、ETFは出来高次第で売買できない(約定できない)可能性あり
投資の柔軟性
  • 投資信託は100円~投資可能、ETFは1株あたり(場合によっては10株単位)で投資可能
  • 投資方法についても一定量での積み立てが一般的な投資信託に対して、ETFは積み立てに対応している金融機関がほとんどない
課税等の手間
  • 投資信託は原則手間なし
  • ETF(米国)の場合は分配金が出る場合に外国税額控除の対応が必要
    • ETF(日本)は2020年から外国税額控除の対応が不要になった(参考

に関わることになります。

中でも、投資可能額の大きさによる制約が一般的には最も大きいでしょう。
ETFは概ね1株あたりで1~3万円程度のものが多いことから、10万円以下の単位で積み立て等を考えている場合は、単元からあふれる元本の割合が大きくなるために、実質的に投資信託一択と考えたほうがよさそうです。
これが100万円くらいになると、単元あふれの影響が小さくなるため、ETFも選択肢に入ってくると思います。

が、総じて運用額が大きくなると次第に課税関係の手間が面倒になったり、積み立て投資の利便性が勝るため、結局投資信託に回帰する方も多いようです。
また、資産形成フェーズを終え、資産の取り崩しを行っていく場合にも、投資信託の定期売却サービスは利便性として非常に高く評価できます。「毎月10万円を取り崩す」とか「毎月1%を取り崩す」なんて基本的には面倒な作業ですよね。

信託報酬と規模の違い

改めて信託報酬と規模の並びを見てみましょう。

Slimオールカントリー楽天VTSBI雪だるまMSCI世界株MAXIS全世界VTACWI
信託報酬0.1144%0.212%0.1102%0.165%0.0858%0.08%0.32%
純資産総額1,822億円965億円238億円57億円74億円23,358億円18,752億円
設定日2018/10/312017/09/292017/12/062011/03/082020/01/092008/06/262008/03/26
純資産増加1.93億円/日0.72億円/日0.19億円/日0.02億円/日0.15億円/日4.95億円/日3.90億円/日

信託報酬だけで見ればVT優位に見えますが、日本からの投資を考えると為替の手数料がかかったりしますので、先ほど少し触れたように1回あたりの投資額など、扱うお金の量によって変わってきそうです。

世界中からお金を集める米国ETFが純資産総額で勝るのはある意味当然として、国内商品の日あたりの純資産増加をみてみると、Slimオールカントリーがトップになります。
およそ1年先行する楽天VTを2020年に追い越しており、高い人気が伺えます。しかし、そんな楽天VTは内部的には実質米国のVTをせっせと買い付けるスタイルであるため、実質的には19,003億円(179.27億ドル、1$=106円換算)が純資産総額と思ってよいのかもしれません。

とはいえ、純資産総額に関して言えばSlimオールカントリーも楽天VTも十分積み上がっているため、その大小であれこれ言うものではなさそうです。
そういった純資産総額の観点で見ると、投資信託におけるSBI雪だるま、ETF(日本)におけるMSCI世界株の人気のなさが目立ちますね。
MAXIS世界株は信託報酬の低さと、「実質的なSlimオールカントリーのETF版」ということで注目されてはいますが、いまのところ設定来で大きく動いているわけでもなく、やはり投資信託の便利さに押されているようです。

ベンチマークの違い

最後に、ベンチマークの違いです。今回登場する3つのインデックスについて、インデックスの構成を調べてみましょう。

MSCI ACWIMSCI ACWI ex JapanFTSE GAI
1Apple3.83%Apple4.11%Apple3.22%
2Microsoft2.83%Microsoft3.04%Microsoft2.63%
3Amazon2.12%Amazon2.49%Amazon2.05%
4Facebook A1.06%Facebook A1.13%Facebook A0.94%
5Tesla1.01%Tesla1.08%Tesla0.91%
6Alphabet C0.94%Alphabet C1.00%Alphabet C0.83%
7Alphabet A0.93%Alphabet A1.00%Alphabet A0.81%
8Taiwan Semiconductor0.88%Taiwan Semiconductor0.95%Taiwan Semiconductor0.77%
9Tencent0.86%Tencent0.92%Tencent0.76%
10Alibaba0.82%Alibaba0.88%Alibaba0.68%
2,96215.48%2,66116.60%8,94413.60%
Slimオールカントリー / MAXIS全世界 / ACWIMSCI世界株楽天VT / SBI雪だるま / VT

という結果です。
割合に違いはあれど、Top10は企業も順位も全く同じ結果となりました。

あえて特徴的な点を述べると、FTSE GAIは8000を超える銘柄から構成され、最も分散度が高いと言えます。
逆に分散度が少ないという意味ではMSCI ACWI ex Japanが日本をまるごと除いていて、Top10合計で16.60%を占めています。

上位に並ぶ企業から米国企業が多いのは一目でわかりますが、国別構成をみておきましょう。

MSCI ACWIMSCI ACWI ex JapanFTSE GAI
1US58.66%US62.83%US57.58%
2Japan6.63%China5.51%Japan7.05%
3China5.14%UK3.88%China4.80%
4UK3.62%France3.09%UK3.94%
5France2.89%Canada2.94%Canada2.81%
Other23.05%Other21.75%Other24.80%

おおよそ「6割が米国株」といったところで、ほとんど変わりないと言っていいでしょう。
次いで日本が7%前後含まれますが、MSCI ACWI ex Japanはそれがまるまるないため、全体的な比重が上位国に寄っていますね。

MSCIとしては米国→日本→中国→イギリス→フランス→カナダの順になっていますが、FTSEだとフランスとカナダが逆になっているようです。微々たる違いですが、一応目についた点としてはそんなところです。

まとめ

今回はいくつかある全世界株式への投資方法を調べてみました。

MSCI世界株は比較的昔からあったようですが、投資信託は2017年以降のものばかりで、インデックス投資の中でも、まだまだ全世界株式への投資はポピュラーになりきれていないものだと感じました。

また、基本的に多くのインデックス投資信託は投資対象から配当などが出た場合にも効率性の観点で積極的に分配金再投資を進め、分配金を出さないことが多いです。
しかし、それでも多少のインカムは得たいと思う人にとって魅力的だったのが米国ETFだったのですが、最近では東証上場のETFでも十分な低コストのものが現れはじめ、中でもこのMAXIS全世界はVTに迫る低コストで登場した特に注目度の高い日本のETFです。

さらに、元々外国資産から配当などの利益を得る場合、二重課税の問題から取り扱いが面倒だったのですが、二重課税調整が2020年から始まり、一層使いやすくなっています。
あとはETFの積み立てにさえ対応してくれればいいのですが、まだもう少し時間がかかりそうです。

こうして色々調べていくと、「じゃあどの方法で全世界株式へ投資したらいいの?」ということになりますが、それはそれで長い考察になりそうなので、今回はひとまずここで記事を終わりたいと思います。

スポンサーリンク

参考記事

今回は全世界株式投資の比較でしたが、米国株式ということであれば過去に調べています。
投資信託のみの比較ですが、ここにMAXIS米国株式(2558)を加えて考えてみるのも面白そうですね。

スポンサーリンク