「ブログ」という形態に着目した上で、自身の経験を踏まえつつ、「 “ユーザーにとってよいブログ記事” を書く」という点を徹底的に掘り下げている丁寧でわかりやすい本。
Contents
オススメ対象者
この本を読むのに適していると考えられるのは、以下のような方です。
- ブログの収益を高めていきたい人
- ユーザにとってのブログの価値を高めていきたい人
SEOについて触れていることからも、最終目標としては収益の向上を据えています。
そのため、それを目指す方がまずオススメ対象者の一人となります。
さらに、その収益の向上を「ユーザにとって価値ある記事を書くこと」としたとき、ユーザ視点をどう捉えるか悩んでいる人にもオススメできる本です。
概要
ブログに関する本としては、本気で稼げるアフィリエイトブログという本を取り上げていますが、ブログのあり方を考える上で他の情報もほしい思い、ふとPrime Readingで探して見つけた本です。
Amazon Prime会員であれば無料で読めますので、同じようにブログのことを考えてる方にはぜひおすすめしたい本です。
この手の本は、「インパクトのあるタイトルをつける」「文章力よりもSEOを意識する」のような、どうやって目立つかという観点で書かれていることが多い印象ですが、この本はユーザーの目線に立ち、「ユーザーにとってよい記事を生み出す方法」を一貫して述べていることが印象的でした。
それでは、印象に残った部分をいくつか取り出してみたいと思います。
この本が目指すもの
この本は第1章-1「ユーザーに価値を与えるコンテンツとは」から具体的な記載が始まりますが、そこまでの導入として書かれている内容に、この本の目指すものがはっきり書かれています。
『第1章:アクセスを集めるSEOに強いブログ記事の書き方』の書き出しから、印象的な部分を引用します。
実際に、あなたもなにか分からないことや知りたいことがあった場合、検索をするはずです。このとき、訪れたページにその「答え」がないと分かった瞬間、すぐに戻るボタンを押してしまうことでしょう。
そのため、ブログやウェブサイトを活用して「集客をしたい」あるいは「お金を稼ぎたい」と考えている場合、ユーザーに対して価値の高い記事(悩みを解決する情報)を提供することだけを考える必要があります。
これさえできるようになれば、ユーザーから支持されるようになり、その分野を制することができるでしょう。
この書籍では、「価値のあるコンテンツ」を作るために絶対に必要になる考え方について、徹底的に解説していきます。具体的には、ユーザーに支持される記事の基準と、価値のあるコンテンツの定義を学んでいただきます。
※先に言っておきますが、一瞬で大量のアクセスを集める方法はありません。その代わり、この書籍で紹介する内容をしっかりと理解して同じように実践していただければ、必ず価値のあるコンテンツを作成できるようになります。
私自身、このブログを通じてお金を稼いでみたいと思っていますが、お金を稼ぐという行為について「価値のあることをした対価としてお金が稼げる」と捉えています。
私が投機を好まない理由でもありますが、何か制度の不均衡を利用するとか、誰かより先に情報を手に入れるだとか、そういった「社会に対する価値のないこと」でお金を稼ぎたくないと考えてきました。
それぞれ引用したように、この本では一瞬で大量のアクセスを集める方法はないと断言しつつも、価値のあるコンテンツを提供し続けることで、必ずユーザーから支持され、結果としてアクセスが集まるという信念が書かれています。
こうした姿勢は、私がまさに求めていたもので、一通り読み終えた今でも、この書き出しに偽りはなかったと感じます。
なぜ、人は検索をするのか
この本ではまず「ユーザーに価値を与えるコンテンツとは何か」というところから始まります。そうしたとき、流入形態として大きな検索流入を考える中で、検索という行為を次のように捉えます。
ユーザーがわざわざ大切な時間を使って検索している理由は、先に述べた通り「悩みを解決する答えを知りたいから」です。実際に、あなた自身も分からないことがあるからこそ、毎日のように検索をして答えとなる情報を探しているはずです。
1-1.なぜ、人は検索をするのかを理解する より
つまり、私たちは悩みを解決する「手段」として、検索をしていることを理解してください。
さらにこの後でも、このユーザーの思いを念頭に、「その検索キーワードで流入するユーザーが求めるものは何か?」という観点から徹底的に記事の構成や内容を掘り下げていきます。
もちろん私自身も、記事を書き、タイトルを付ける際に「どういう検索とこの記事が合うかな~」と考えたりはしますが、この本で述べられているほど「ユーザーに与える価値」を強く意識したものではありませんでした。
実際にこの本を読んだ後、いくつかの記事について内容をほぼ維持しながらも、よりユーザーの価値を意識した構成に変更しています。内容をほとんど変えていないことからも、「検索クエリから読み取れるユーザーの悩み」「ユーザーが欲している情報の順序」を織り込むことは、コンテンツの良し悪し以前に、書き手の意識次第なんだなと感じました。
ユーザーニーズを読み取る
この本を読むまで、私が記事を作成する流れは概ね次のようになっていました。
- 記事化するネタを決める
- 仮タイトルを立てて記事本文を書く
- 記事本文を眺めながら、本タイトルを立てる
仮タイトル→本タイトルとする流れはこの本でも触れられていることなのですが、最も致命的だと思ったのは、タイトルと本文の整合性を気にしている一方で、「タイトルに惹かれるユーザの望みと、記事本文の整合性」という、ユーザーの望みと本文の整合性について考えていなかったことです。
例えばこの本でも一例として出ている、以下の検索で流入するユーザーがいたとき、望むコンテンツはどのようなものになるでしょうか。
- ダイエット 食事
ダイエットが入っているわけですから、いずれにせよ「痩せたい」という願望があるはずですが、問題はその次です。
食事、と続けたこのユーザーが望んでいることが「労力をかけずに痩せたい」なのか「とにかく痩せるために効果的な食事が知りたい」なのかはこの時点ではわかりません。
このままそれらしい記事を仕立てていき、「流入したユーザーの50%は満足できる」を良しとする考えもありますが、ユーザーへの価値を追求する観点からすれば、もう1つキーワードを想定し、
- ダイエット 食事 健康
までいけば、「健康を維持したまま行うダイエットと食事の関係を知る」ことがユーザーの主な着眼点なのだと理解できます。
確かに、さらにキーワードを導入することで、対象のユーザーは少なくなり、PVは落ちてしまうかもしれません。しかし、この本でも引用されているようにGoogleが
ラリー ペイジはかつて、「完璧な検索エンジンとは、ユーザーの意図を正確に把握し、ユーザーのニーズにぴったり一致する答えを返すものである」と述べたことがあります。Google が実施しているテストでは、ユーザーが質問に対する答えをすぐに手に入れたいと考えていることが、長年にわたり一貫して示されています。そこで Google では、最も関連性の高い回答を、より速く、ユーザーが探している情報のタイプに最適な形式で提供するために、さまざまな改善を重ねてきました。
Google検索の仕組み「便利な検索サービス」(Google) より
と日々改善を重ねていることからも、最終的に求められる情報とは、「ユーザーのニーズにぴったり一致する答え」を持つものであるために、それを目指すことが長期的な発展に適していると思います。
この流れを踏まえたとき、これまで私は「ダイエット 食事」の記事を書いていたわけですが、そこから今一度記事本文とユーザーの望みを照らし合わせ、「ダイエット 食事 健康」に狙いを定めて価値を最大化するべきだったと思いました。
正しい引用について
記事の信頼性やブログそのものの信用について述べる本や記事が多い中で、意外とその信頼性や信用を高める手段である「引用」について詳しく述べている情報は多くないように感じます。
そうした中で、この本が正しい引用について触れているのは、冒頭に宣言した「徹底的に解説していきます」という姿勢と合致するものだと思いました。
お金を稼ぐということを、社会に貢献した結果と捉える私としても、不適切な引用を行った結果、社会の不利益だとして訴えられるようなことは絶対に避けたいと考えています。
だからこそ、この内容に深く触れているこの本の姿勢は改めて素晴らしいものだと思いましたし、この本を手にとった私のニーズを押さえているものだと思いました。
ブログの価値は誰が決めるか
この本を読んで刺激を受け、自分で考えたことは「ブログの価値は誰が決めるか」ということでした。
答えは当然「ユーザー」でありその集合である「社会」ということになりますが、それまでの私の考えでは、「正しい記事を書き続ければ、次第に信頼・信用され、アクセスが増えていく」と思っていました。
もちろん、その姿勢が間違っているものだとは思いませんが、そこには「意思をもったユーザー」が1人も存在していなかったのだと感じます。
あるトピックについて、根拠を示して正しい内容を書けば、きっと「誰か」がその価値を見出してくれる、そのように漠然と考えていました。
ですが、実際にブログの価値を誰が決めるかといえば、積み上がるPVの1つ1つと繋がる、1人1人のユーザーでしかあり得ないわけです。
確かに、そうした1人1人に目を向けていくのは大変な労力ですが、この本でも
結局のところ、メディアの運営は「時間」と「労力」をかけた人が勝ち残るようになっています。
第5章 ブログ記事で著作権のある画像や写真の正しい引用の書き方 より
と述べている通り、私はその労力を惜しみ、どこかに存在するであろう「誰か」に価値の評価を期待していたというわけです。
趣味や副業、さらには本業に至るまで、労力を少なくしたい考えることは当然のことです。しかし、成し遂げたいと自ら決意したこと対するなら、必要以上に労力を惜しむことは、怠慢であり、自身の決意に対する矛盾です。
そうしたことを踏まえると、私はもう少し労力をかけることでブログの価値を高めることができると、大いに刺激を受けるとともに、ここを乗り越えることが成功に向けた大きなハードルなのかもしれないと思いました。
まとめ
冒頭でも触れた通り、「 “よいブログ記事” を書く」ということを一貫して述べた本でした。
ユーザーの望みや行動を念頭に置いて、「よい」とはどういうことであるか。
ブログという形態を踏まえ、「よい」とはどういうことであるか。
記事の大原則を踏まえ、「よい」とはどういうことであるか。
非常に雑に述べてしまえば、この本ではこうした問いかけと向き合ってきたわけです。
この本では様々な観点から、よいブログ記事に必要なポイントを提示していますが、それとともに、それが非常に多くのポイントで成り立っていることにも触れています。
それだけ、「価値を出す」ということが難しく、労力を要することではある一方、それらのポイントをある意味愚直に守り続けることができれば、価値のあるよいブログ記事を生み出し、成功することができると続けています。
私がブログを本格的に書くようになってから2ヶ月程度で、まだ成功の実感も何もない状態ではありますが、何か天才的なセンスがいるとか、大きな運に恵まれるとかではなく、「たくさんのポイントを確実に身に着け、ユーザーの目線を持って実践していくことが成功に繋がっている」と書かれていることは、大いに勇気づけられるものでした。
Prime Readingであればぜひ読むべきと思いますし、そうでなくてもお手頃な値段なのでブログで成功したいと考えている人にはオススメしたい1冊でした。
参考サイト
この本の著者、與五澤憲一(よごさわけんいち)さんはこの本の他にも、イノバースというサイトでブログ作りのアイデアやテクニックを発信されています。
私もまだ見始めたばかりですが、この本から感じられた姿勢をそのままに、豊富なコンテンツが並んでいると見受けられます。
こちらもぜひご覧になってみてください。