自分のお金を管理する上で、自身のお金の流れを知ることは非常に重要なことです。
今回はそうしたお金の流れを知るために有効な、代表的な家計簿アプリ3種(MoneyForward ME / Moneytree / Zaim)についてまとめてみます。
Contents
家計簿アプリとは
家計簿アプリとは、その名の通り、昔は手でつけていた家計簿をスマホやPCからつけられるというものです。
そうした意味での家計簿アプリ自体は、昔から存在していたのですが、最近では特にFinTechのような流れを踏まえ、様々なサービスと連携して、自動的にお金の流れを記録するような家計簿アプリが登場しています。
そのような家計簿アプリを利用することで、収入と支出の見える化が簡単に行えるようになります。こうしたモダンな家計簿アプリは、一時期まで活発にリリースされていたのですが、2020年1月現在では、概ね以下の3種類に収束してきました。
特に強いこだわりがなければ、この3種類のどれかで間違いないので、今回はこれら3種類の特徴を比較しつつ、家計簿アプリでお金の流れを見える化することを考えてみます。
見える化のよいところ
さて、家計簿アプリでお金の流れが見える化できることはわかったとして、具体的にアプリを入れる前に、まず見える化のよいところに触れてみます。
収入と支出のバランス把握
最も効果があることだとすればこれです。収入と支出の把握については、
という記事でも触れていますが、自身の資産運用をする中では、前提情報としての
- (収入)いくら入ってきていて
- (支出)いくら出ていくのか
は、真っ先に把握すべきことです。
収入がわからなければ、いくら資産運用にまわせるのかわからないですし、支出がわからなければ、老後資産をどう計算するかもよくわかりませんよね。
家計簿アプリでは、各明細ごとに仕分けを行ったり、月や年での集計結果を簡単に見られたりするので、まさに見える化にぴったりな手段です。
資産形成状況の把握
次に、収入と支出のバランスを把握し、自分なりの資産形成計画を立てられたとしましょう。このとき、次に気になってくるのは、その計画がきちんと実行・達成されているかということです。
そうしたときにも、家計簿アプリが役に立ちます。
家計簿というと、お金の流れを記録するものでしたが、家計簿アプリとしては銀行や証券口座とも連携ができるため、資産管理にも使うことができます。
例えば、老後資金としてとある証券口座を割り当て、その積み上がり方を見てもいいですし、確定拠出年金(企業型DC / iDeCo)口座を見るのもいいでしょう。この観点でいえば、短期の財布の観点で収支状況の把握があるとすれば、長期の財布の観点で資産状況の把握があると言えます。
いずれにせよ、個人の資産形成として有力な手段として積立投資があり、確かに積立投資は一度設定してしまえば細かなメンテナンスを必要とせず、「ほったらかし投資」と言われたりもしますが、だからといって本当に一切気にしないのもどうかと思うので、気付いたタイミングで見られるようにしておいたほうがいいでしょう。
お金のことに興味をもつ
ここまで収支の把握という現在の話と、資産形成状況の把握という未来の話を見える化のよいところとして紹介しました。
しかし、本当に見える化のよいところは何かと言われると、端的には「お金のことに興味が持てる」というところにあると思います。
本来的には収支状況は日々変わるものですし、資産形成状況にしたって、景気の良し悪しの影響を受けます。そうした意味で、どこかのある時点でみっちり考えればよいということではなく、本当は日々考え続けるべきことだと言えます。
しかし一方で、そうすることは非常にハードルの高いことです。なぜなら「興味がない」からです。
自分の日常生活において、生きるために必要なことを除いて、自身の娯楽的に習慣づけられていることはあるでしょうか。通勤電車の中で本を読む、TwitterなどのSNSを見る、あるいは毎週ドラマを見ることなどです。これらは全て、必要に駆られてやっていることではないですが、そのことに興味があればあるほど、続けることに何の負担もないことでしょう。
そう考えると、お金に関しても、興味を持てば続けることへの負担は軽くなり、考えることのモチベーションも上がることになります。
そして、興味を持つための最も簡単な方法は「自分の目に触れる」ようにすることです。
それまで一切考えたこともなかったようなことが、突然テレビやニュースに取り上げられたりすると、とりあえず調べたりすることはありますよね。
それと同じで、まずは自分の目に触れさせると、興味を持つ助けになります。
そうしたことを考えると、
- 家計簿をつけるという面倒なことを代行
- たまに家計の状況をお知らせ
- 必要なときに簡単に見える化
してくれる家計簿アプリは非常に都合のよい仕組みだと思います。
家計簿アプリの比較
それでは、家計簿アプリの導入効果もわかったことで、具体的にどのアプリを入れるとよいのかを考えてみましょう。
比較するのは以下の3種類です。
比較表
まずはざっと比較をしてみましょう。
特徴 | MoneyForward ME | Moneytree | Zaim |
---|---|---|---|
プラン | 無料 (有料版:500円) | 無料 (有料版: 360円) | 無料 (有料版: 480円) |
連携先 | 2700+ | 2600+ | 1500+ |
連携数 | 10個まで (有料版:無制限) | 50個まで | 無制限 |
データ保管期間 | 過去1年 (有料版:無期限) | 無期限 | 無期限 |
レシート読取 | あり | なし (有料版:あり) | あり |
資産推移表示 | 期間 / 種別ごとに表示可能 | 1年ごとに表示可能 | 1年ごとに表示可能 |
収支推移表示 | 7か月分の収支を費目ごとに表示可能 | 1年分の収支を表示可能 | 4か月分の収支を費目ごとに表示可能 |
アプリ | Web Android iOS | Web Android iOS | Web Android iOS |
家計簿アプリと分類されるアプリが多数ある中で、特に高機能な3種類をリストアップしています。その時点で機能が似通っていく部分が多くあるのですが、それでも3つのアプリでそれぞれ特徴があるのでそちらを解説していきます。
MoneyForward ME
MoneyForward MEに関しては、「お金を払えば最強」という言葉に尽きます。
お金の流れの見える化が大事だとしたとき、それを最もよく実現できるのがMoneyForward MEです。
連携可能な口座数も競合含めてトップですし、グラフ機能の強力さと合わせて、見える化機能に最も強みを持ちます。
一方、 機能比較 を見るとその一端が伺えるように、無料版の機能が最も渋いです。2700種類以上の口座が連携可能な一方、無料版では10個までしか連携できなかったり、データも1年前までしか遡れなかったりします。そのため、多くのお金の流れを色々な観点で見える化したい場合は、プレミアムサービス(500円/月)に加入するか、後述する別アプリを使うことになります。
ちなみに、私自身はMoneyForward MEのプレミアムサービスを利用しています。
Moneytree
MoneyForward MEの評価と対比させるなら、「お金を払わない分には優秀」です。
MoneytreeもMoneyForward ME同様、かなりの種類の口座が連携できます。
さらに、Moneytreeは無料版でも連携数50個と余裕があり、データ保管期間も無期限なので、こちらは無料版でもかなり使うことができます。
機能比較 を見てみるとわかるように、収益源としては個人向けよりも、法人向けを見ているため、地味に個人向けの有料プランが微妙です。(そもそもiOSしか対応してない…)
レシートの読み取りに対応していなかったり、費目の細かいカスタマイズには対応していませんが、お金をかけず色々連携だけしておきたいタイプにはぴったりなアプリではあります。
Zaim
最後にZaimですが、「家計簿に特化した高機能家計簿アプリ」となります。
ここまで触れてこなかったですが、家計簿アプリには収支を管理する機能と資産を管理する機能があります。前者がまさに家計簿ですが、色々な口座を連携できるので、資産管理機能もついているものが多いです。
しかし、そんな中でZaimは資産管理機能をあまり重視していません。
あくまで、家計簿の機能に注目して、レシート読み取りや現金管理、費目のカスタマイズ性など、家計簿を自分なりに使い倒したい人に魅力的なアプリになっています。
機能比較 を見ると、有料版ではさらに純粋な家計簿機能が強化されることがわかります。ユーザ情報に基づいて、「もらえる可能性のある給付金一覧」を出してくれるのはZaimだけの非常にユニークな機能ですね。
私の考えとしては、短期の財布を収支でチェックし、長期の財布を資産でチェックするものなので、Zaimでは不十分ということになりますね。
また、カスタマイズ性に優れるのは良いことである反面、かえって手間に感じてしまうこともあるため、100点は取れないが80点取れる、もののほうがお金と長く付き合う点ではよいのではないかと思います。
家計簿アプリの選択ポイント
これまで見てきたことを考えると、要するに選択ポイントは以下になります。
- 有料版であっても使ってよい
- MoneyForward MEがお金の見える化に最適
- 無料版の範囲内で見える化したい
- 収支と資産を見える化したいならMoneytree
- 手間をかけても収支だけを細やかに見える化したいならZaim
ということになります。
わかりやすい軸として有料 or 無料を軸にすると選択ポイントがすっきりします。
全体を通して最も高機能なMoneyForward MEはいかんせん無料版の機能が弱すぎます。(10件連携縛り、データ1年縛り)
そのため、無料で使っていきたいとするなら、MoneytreeかZaimになりますが、この2者は「資産の見える化スタンス」や「手間のかけ方」が違っているので、「収支と資産を見える化(Moneytree向け)」することや「手間をかけても細やかに見える化(Zaim向け)」するかどうかが選択ポイントになってきます。
選択に関して注意点があるとすれば、「家計簿アプリの乗り換えは面倒」だということです。過去の履歴を引き継がなくてよいということであれば気にせず新しいものを利用していけばいいのですが、引き継ぎたいとする場合、CSV連携機能でデータをエクスポートして取り込んでいくことになります。
しかし、厄介なことにこのCSVエクスポート機能はほとんどの場合、有料機能です。そのため、「無料版Moneytreeで続けてきたけど、お金を払ってもMoneyForward MEを使いたくなった」場合には、一度有料版を経由するとか手間がかかる可能性が高いです。
私も初期にはMoneyForward MEとMoneytreeを並行して使ってみましたが、MoneyForward MEが機能的に好感した半面、連携数に課題があったので有料版にすることを選んだりしました。
まとめ
「家計簿アプリを入れたら便利!」と言われることがありますが、やはり「なぜ家計簿をアプリを入れると便利なのか?」ということをはっきりさせておくことが、アプリを上手く使う上では大事です。
最初に整理したように、「家計簿アプリはお金の流れを見える化する手段」として非常に有効です。そして、見える化のメリットとしては、
- 短期の財布を楽にチェックする(収支の見える化)
- 長期の財布を楽にチェックする(資産の見える化)
- お金のことを考えるモチベーションを高める
に通じ、お金のことを負担感なく考え続けられることにつながります。
このことを考えれば、家計簿アプリは月額でお金を払う価値は十分にあると個人的には考えていますが、無料版であっても十分に活用はできますので、ぜひ利用を考えてみてください。
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文中でも引用していますが、改めて関連記事です。