米国ETFに対応するバンガードの世界版ETF

世界最大級の資産運用会社として知られるバンガードが提供する米国資産ETFのいくつかには、非米国資産への投資を補完するような世界版ETFが存在しています。

このあたりのETFについてはあまり情報を聞くことがないため、米国版との対比を行いつつ、世界版ETFの特徴を調べてみたいと思います。

バンガードの主な米国ETFと世界版ETF

さていきなり本題ですが、バンガードが提供する著名な米国ETFに対して、あまり知られていませんがそれに対応する世界版ETFが割と存在します。

今回はそれをETFの組成方針ごとに紹介しますが、まずその一覧です。

クラス組成方針米国版世界版
(除く米国
全世界版
(含む米国)
株式市場連動VTIVXUSVT
株式高配当VYMVYMI
株式増配VIGVIGI
不動産市場連動VNQVNQI
債券市場連動BNDBNDXBNDW

米国の大型株から小型株までを広くカバーするVTIと、その全世界版であるVTについてはご存じの方も多いと思いますが、高配当株ETFのVYMであったり、増配株ETFのVIGにも対となる世界版が存在します。

どうしてこういうものがあるのかというと、これはバンガードが米国企業であり、米国の顧客を多く抱えていることに起因します。
主要顧客である米国ユーザは米国居住者がほとんどであるため、必然的に米国のカントリーリスクを強く負うことになりますが、そうしたカントリーリスクを抑えようと思う場合、米国以外の資産で分散するのが自然な考え方です。このとき、例えば株式であればVTIに対するVTのような全世界商品が使えますが、VTは依然として米国資産を含む商品となっており、全体としてのポートフォリオコントロールが面倒な面があります。
従って、調整がしやすいように米国だけを除いた「世界版(除く米国」のETFに一定の需要があり、昨今人気のある米国ETFに対応する形で色々ラインナップされてきているということになります。

それでは、そうしたいくつかの種類ごとに、米国版と世界版をそれぞれ比べてみることにしましょう。話の流れとしてはシンプルですが、網羅的に記載したこともあり、非常に長くなっていますので、一種の図鑑のようなものと理解ください。

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株式:市場連動型(VTI/VXUS/VT)

それではまず株式クラスのうち、最も有名であろう市場連動型ETFです。

各ETFの概要

VTIVXUS参考:VT
設定年2001年2011年2008年
ベンチマークCRSP US Total Market IndexFTSE Global All Cap ex US IndexFTSE Global All Cap Index
純資産総額2843億ドル533億ドル251億ドル
トータルリターン(5年)16.19%8.39%12.96%
経費率0.03%0.08%0.08%
直近配当利回り1.52%6.08%3.07%
構成銘柄数413977429364

バンガード旗艦ETFの1つで米国時価総額の99%をカバーしていると言われるVTIに対し、米国以外の時価総額を広くカバーするETFがVXUSです。

純資産総額としてはVTIにまだまだ及びませんが、VTより大きいことから「除く米国」需要の大きさが伺えます。

参考にVTも記載していますが、VTに占める米国比率は約60%なので、VTI:VXUS=6:4で混ぜ合わせると疑似VTを作ることができます。
あとは、これを基準に増やす減らすなどをすることで米国株式比率を軸にしたオリジナルポートフォリオを組むことができるでしょう。

チャート比較

2012年2月以降の基準価額推移(TradingView

10年間の基準価額推移はこのようになっていました。
見てわかる通り、10年を通じてVTI > VXUSの推移をしています。VTは性質上ちょうどその間にきています。

年率トータルリターン1年3年5年10年
VTI13.73%20.44%16.20%14.85%
VT9.33%16.55%12.97%10.76%
VXUS2.62%11.27%8.76%6.44%

上記の推移ですので、基本的にどの切り取っても米国優位なことが見て取れました。米国にとっては恵まれた10年でしたね。

構成比率(VXUS)

VTIは100%米国に投資しますが、VXUSはどのように分散しているでしょうか。

地域としてはヨーロッパがトップですが、国としては日本がトップとなっていました。
これを見ながら思いましたが、米国に次ぐ国別時価総額で日本→イギリス→中国なのはまぁいいとして、次に来るのはカナダなんですね。少し印象と違って新鮮でした。

組み入れ上位銘柄

続いては具体的な組み入れ銘柄を見てみましょう。

VXUSVTI
1Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. Ltd.(2330)1.62%Apple Inc.(AAPL)5.69%
2Nestle SA(NESN)1.17%Microsoft Corp.(MSFT)5.19%
3Tencent Holdings Ltd.(700)1.07%Amazon.com Inc.(AMZN)2.96%
4ASML Holding NV(ASML)0.95%Alphabet Inc. Class A(GOOGL)1.79%
5Samsung Electronics Co. Ltd.(005930)0.94%Tesla Inc.(TSLA)1.75%
6Roche Holding AG(ROG)0.87%Facebook Inc. Class A(FB)1.64%
7Toyota Motor Corp.(7203)0.69%Alphabet Inc. Class C(GOOG)1.61%
8Alibaba Group Holding Ltd.(9988)0.64%NVIDIA Corp.(NVDA)1.44%
9LVMH Moet Hennessy Louis Vuitton SE(MC)0.63%Berkshire Hathaway Inc. Class B(BRK.B)1.04%
10Novartis AG(NOVN)0.55%UnitedHealth Group Inc.(UNH)0.97%
77429.13%413924.08%

VTIの上位は分かりやすく「世界を代表する企業」と言えますが、VXUSの上位を見ると「米国を除く、世界を代表する企業」がわかります。

VXUSの組み入れ1位は台湾のTSMCで、アップルやNVIDIAなどから半導体製造を委託されるBtoBの大企業として知られています。こっそり国別ランキングでも8位に台湾が入っているのはTSMCの影響が大きいでしょう。
また、同様に2位のネスレも世界的食品メーカーとして有名ですが、ネスレや6位のロシュ、10位のノバルティスによってスイスが国別で6位につけています。

日本からは7位にトヨタがランクインしているほか、アジアとしては韓国のサムスンや中国のテンセント、アリババなどが目につきます。

株式:高配当型(VYM/VYMI)

続いて、なんだかんだ人気のある高配当ETFです。
SPYDやHDVなどと並ぶVYMが有名ですが、世界版としてVYMIが設定されています。

各ETFの概要

VYMVYMI
設定年2006年2016年
ベンチマークFTSE High Dividend Yield IndexFTSE All-World ex US High Dividend Yield Index
純資産総額433億ドル34億ドル
トータルリターン(5年)11.54%7.39%
経費率0.06%0.27%
直近配当利回り3.35%5.56%
構成銘柄数4121202

VYMIは2016年の設定でまだまだ日が浅いこともあり、純資産総額はVYMの1/10以下です。
こうした規模の小ささや全世界の高配当企業に目を光らせる手間から、低コストで知られるバンガードのETFではありつつも、経費率がVYMに比べてずいぶん高いものになっています。

およそ400銘柄で構成されるVYMに対して、VYMIは約1200銘柄で構成されていて、より分散性の高いETFになっていることは大きな特徴ですね。

チャート比較

2016年3月以降の基準価額推移(TradingView

同期間でのチャート比較ですが、VYMIは設定が2016年3月なのでそれ以降の6年ほどのチャートになります。

2016-2018くらいの期間は拮抗していますが、そこからVYMIが劣後しはじめ、そのままコロナショックに突入して全体的に後れをとる推移となっています。

年率トータルリターン1年3年5年10年
VYM22.77%14.67%11.78%12.70%
VYMI16.24%10.48%7.96%

現時点の断面として配当利回りを見るとVYM < VYMIとなっていたことは確かですが、基準価額推移を踏まえたトータルリターンとしてみるとやはり劣後してしまいますね。

構成比率(VYMI)

基本的にはVYMIも時価総額加重平均型のETFですので、地域別で見た構成比率は先ほどのVXUSと大差ありません。ヨーロッパ4割、次いで太平洋圏(Pacific)で2割といったところです。

一方で、国別に見てみると1位がイギリスで、2位日本、3位スイスとなっていてなかなか不思議な並びです。

組み入れ上位銘柄

そうした不思議な並びは、上位銘柄を見てみるとよくわかります。

VYMIVYM
1Nestle SA(NESN)3.14%JPMorgan Chase & Co.(JPM)3.29%
2Roche Holding AG(ROG)1.94%Johnson & Johnson(JNJ)3.19%
3Toyota Motor Corp.(7203)1.86%Home Depot Inc.(HD)3.12%
4Novartis AG(NOVN)1.49%Procter & Gamble Co.(PG)2.79%
5AstraZeneca plc(AZN)1.48%Pfizer Inc.(PFE)2.33%
6Royal Bank of Canada(RY)1.24%Bank of America Corp.(BAC)2.27%
7Toronto-Dominion Bank(TD)1.14%Cisco Systems Inc.(CSCO)1.90%
8Siemens AG(SIE)1.07%Broadcom Inc.(AVGO)1.88%
9Commonwealth Bank of Australia(CBA)1.03%Exxon Mobil Corp.(XOM)1.84%
10HSBC Holdings plc(HSBA)1.01%PepsiCo Inc.(PEP)1.70%
120215.40%41224.31%

トップは先ほども出てきたスイスのネスレで、他にも2位のロシュ、4位のノバルティスとともにスイスが国別3位になっているものと考えられます。

その他、こちらの組み入れ上位で特徴的なのは各国の銀行がランクインしていることですね。銀行株は代表的な高配当銘柄にあたるため、米国以外の世界で見た場合にもこうして多く組み入れられるのは納得です。

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株式:増配型(VIG/VIGI)

こちらも配当株に着目したETFですが、増配株で構成されるVIGに対するVIGIです。

各ETFの概要

VIGVIGI
設定年2006年2016年
ベンチマークS&P U.S. Dividend Growers IndexS&P Global Ex-U.S. Dividend Growers Index
純資産総額654億ドル40億ドル
トータルリターン(5年)15.12%10.83%
経費率0.06%0.20%
直近配当利回り1.90%1.07%
構成銘柄数267350

VIGIもVYMIと同じ2016年の設定になっています。
VYMIよりは安いですが、経費率が0.20%でやや高めなのも似ていますね。

米国外銘柄を集めると相対的に高配当に触れることが多いですが、こちらはVIGよりも低い配当利回りになっています。

構成銘柄数に関して言えば、VIGより多いのはそうですが、VYMに対するVYMIほどは増えていません。これによってVYMIほど経費率が高くなっていないわけですが、せっかく米国以外の全世界にスコープを拡げる割にはやや物足りないような気もします。

チャート比較

2016年3月以降の基準価額推移(TradingView

チャート全体の形状はやや異なりますが、2018年までは併走を続けるあたり、傾向としてはVYMとVYMIの関係に似ているかもしれません。

ただ、2021年10-12月頃の動きは上昇基調を続けたVIGに対して反落したVIGIの動きがやや気になりますね。

年率トータルリターン1年3年5年10年
VIG17.46%18.39%15.66%13.48%
VIGI3.19%13.79%11.25%

年末の下落が効いたためか、1年リターンで大きく差が開いてしまったようです。

構成比率(VIGI)

地域的にはこのようになっています。傾向としては似ていますが新興国の比率が15%程度であり、20%を超えていたVXUSやVYMIとは少し違った性格が見えます。増配株、すなわち一定以上の年数にわたって増配を続けた株を探そうとすると相対的に先進国の方が多くなりやすいということでしょうか。

国別でみるとついに(?)スイスが1位になっています。

組み入れ上位銘柄

それではまた具体的な銘柄を見てみましょう。

VIGIVIG
1Nestle SA(NESN)4.53%Microsoft Corp.(MSFT)4.83%
2Roche Holding AG(ROG)4.40%UnitedHealth Group Inc.(UNH)3.76%
3Novo Nordisk A/S Class B(NOVO B)3.92%Johnson & Johnson(JNJ)3.58%
4Novartis AG(NOVN)3.69%Home Depot Inc.(HD)3.47%
5SAP SE(SAP)3.22%JPMorgan Chase & Co.(JPM)3.31%
6Toronto-Dominion Bank(TD)2.83%Procter & Gamble Co.(PG)3.16%
7Keyence Corp.(6861)2.71%Visa Inc. Class A(V)2.77%
8Tencent Holdings Ltd.(700)2.59%Broadcom Inc.(AVGO)2.15%
9Diageo plc(DGE)2.56%Accenture plc Class A(ACN)2.07%
10AIA Group Ltd.(1299)2.52%Costco Wholesale Corp.(COST)1.98%
35015.40%26724.31%

国別1位から察しはついていましたが、1位2位4位をスイス勢が占めています。3位のノボ・ノルディスクはデンマークの医薬品メーカーで糖尿病薬が有名だそうです。

日本からは7位に精密機器メーカーのキーエンスがランクインしています。キーエンスは株価60000円を超える有名な値がさ株なので、個別株としてはなかなか名前を聞きませんが、投資信託の組み入れとしてはよく目にします。

9位のディアジオはイギリスの酒造メーカーですが、ギネスやジョニーウォーカー、スミノフなど有名なお酒のブランドを持っているメーカーです。日本ではキリンと提携していることもあり、あまりディアジオという名前を意識することはあまりないですね。

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不動産:市場連動型(VNQ/VNQI)

次は株式資産を離れて不動産のETFです。

不動産といってもREITだけではなく不動産デベロッパーなども含まれているので広い意味で「不動産で稼ぐ資産」をまとめたものになっています。

各ETFの概要

VNQVNQI
設定年2004年2010年
ベンチマークCRSP US Total Market IndexFTSE Global All Cap ex US Index
純資産総額460億ドル47億ドル
トータルリターン(5年)8.95%5.11%
経費率0.12%0.12%
直近配当利回り4.01%6.11%
構成銘柄数168700

株式などと比べるとなんだかんだ規模が小さく見えてしまいますが、米国不動産ETFとしてはVNQが規模としては大きいです。他にはブラックロックのIYR(66億ドル)やステートストリートのXLRE(54億ドル)などが知名度としては並びます。

それに対して世界版として2010年に設定されたのがVNQIです。構成銘柄数でVNQを大きく上回りますが、経費率が同等に抑えられているのが不思議です。
VNQIの配当は6/9/12年月に出てきますが、12月が特に多く支払われるようになっています。そのため、サイトによっては直近配当利回りが以上に高く見えるときがあるので注意が必要です。直近1年では約6%程度だったようですが、5年くらいのスパンで見ると4%くらいになっているようです。

チャート比較

2012年2月以降の基準価額推移(TradingView

VNQIは設定年が2010年であったため、こちらは2012年から2022年現在までの10年チャートです。ある程度の併走性が見られたVYMやVIGとは異なり、優劣を入れ替えながら推移しているように見えます。

コロナショック時のVNQの落ち込みはなかなか強烈で2020年2月の高値100ドル付近から、2020年3月の底値60ドルまで1か月で-40%の落ち込みを見せました。
しかしその後、急速な回復を見せて横ばい程度に終わったVNQIによりも高値圏に返り咲いています。

年率トータルリターン1年3年5年10年
VNQ23.52%12.06%9.20%9.74%
VNQI3.80%2.59%4.98%5.91%

この1年で大きく差が開いたことにより、全体的なパフォーマンス評価も差がついて見えますね。毎年平均して4%ほどは配当として出してしまうわけなので、基準価額自体は横ばいな推移となり、VNQIはキャピタルゲインがあまり見込めない資産だと言えそうです。

構成比率(VNQI)

不動産では太平洋圏への投資が大きくなっているようです。

国別で見てみると日本がトップであり、トップ1国で20%を占めていることから、株式とは様相が違うことが伺えます。
株式でおなじみだったスイスはこちらでは出てきていないですね。

組み入れ上位銘柄

それでは具体的に組み入れ銘柄を見てみましょう。

VNQIVNQ
1Vonovia SE(VNA)3.54%Vanguard Real Estate II Index Fund Institutional Plus Shares(—)11.35%
2Goodman Group(GMG)2.71%American Tower Corp.(AMT)6.88%
3Segro plc(SGRO)1.94%Prologis Inc.(PLD)6.43%
4Mitsubishi Estate Co. Ltd.(8802)1.60%Crown Castle International Corp.(CCI)4.60%
5Daiwa House Industry Co. Ltd.(1925)1.59%Equinix Inc.(EQIX)3.90%
6Mitsui Fudosan Co. Ltd.(8801)1.58%Public Storage(PSA)3.05%
7Sun Hung Kai Properties Ltd.(16)1.54%Simon Property Group Inc.(SPG)2.64%
8Link REIT(823)1.53%Digital Realty Trust Inc.(DLR)2.53%
9Sumitomo Realty & Development Co. Ltd.(8830)1.16%SBA Communications Corp. Class A(SBAC)2.20%
10CK Asset Holdings Ltd.(1113)1.03%Realty Income Corp.(O)2.04%
70018.22%16845.62%

さすが国別1位であることもあり、上位に三菱不動産・大和ハウス工業・三井不動産・住友不動産と日本でおなじみの不動産企業が並びます。
他には1位のヴォノヴィアはドイツ、2位のグッドマングループはオーストラリア、3位のセグロはイギリスと、各国を代表する不動産企業が名を連ねています。

そんな中、日本以外では唯一複数ランクインしているのが中国でした。国別で見てもシンガポールが上位にありましたし、太平洋圏、特にアジアでの不動産ビジネスが活発なようですね。
アジアの国々は相対的に国土が狭いので、かえって建物などで工夫するデベロッパー企業が発達しやすいのかもしれません。

債券:市場連動型(BND/BNDX/BNDW)

最後に債券ETFです。リターンを追い求める投資においてはディフェンシブな役割であるため特に強く主張されることはないですが、伝統的な資産としてこちらにも世界版ETFが設定されています。

各ETFの概要

BNDBNDX参考:BNDW
設定年2007年2013年2018年
ベンチマークBloomberg Barclays U.S. Aggregate IndexBloomberg Global Aggregate ex-USD Float Adjusted RIC Capped Index (USD Hedged)Bloomberg Global Aggregate Float Adjusted Composite Index
純資産総額823億ドル533億ドル5億ドル
トータルリターン(5年)2.90%2.75%
経費率0.04%0.08%0.06%
直近配当利回り2.00%1.05%1.51%
構成銘柄数10161650716668

債券ETFとしてはAGGなどと並んで有名なBNDに対して、世界版としてBNDXが2013年に設定されています。

BNDXの特徴はその規模の大きさで、設定年の違いを加味すればBNDに匹敵するほどの大きな規模をもっています。やはりドル通貨を持っている米国ユーザとして資産分散を考える場合には、非ドル資産というツールが特に重要なのかもしれません。

ちなみに、VTIに対するVTのように、「含む米国版」としてのBNDWが2018年に設定されています。BNDWの作り方はなかなか面白くて、

銘柄名組入比率参考:構成銘柄数
1VANGUARD TOTAL INTERNATIONAL BOND(BNDX51.00%6507
2VANGUARD TOTAL BOND(BND49.00%10161
100.00%16668

というように、先に設定されていたBNDとBNDXを単に混ぜ合わせる形で構成されています。
VTはVXUSに先行して設定されたため、直接株式を保有していますがこの形はなかなか合理的です。

BNDWの構成銘柄数も素直に 16668 = 6507(BNDX) + 10161(BNDX) という関係になっています。ほぼ1:1での構成であるため、経費率もその中間である0.06%になっています。

この作り方がアリなら、VYM/VIG/VNQに対して、VYMW/VIGW/VNQWもいずれ設定されるかもしれませんね。

チャート比較

2013年6月以降の基準価額推移(TradingView

今回調べたものでは初めて米国版が基準価額としては劣後する結果となりました。

とはいえ、ディフェンシブ資産としての使い方をする以上、BNDに比べてハイリスクハイリターンであるBNDXがより良いのかと言われると微妙なところですね。

こちらの債券ETFでもコロナショックの様子が見えますが、2020年2月から下落を見せ始めた他資産とは異なり、一瞬で下がって戻すという不思議な動きをしました。
この急激な下落にあたり、「暴落時に強い」と言われる債券ですらコロナショックで大きく下がったことから、何か今までにない何かが起こっているのかと、当時とても驚いた覚えがあります。

結果的に下げは一瞬のことで、4月にはコロナショック前水準に価格を戻しましたが、その後下落に転じるという株式や不動産とは異なる値動きをしています。

年率トータルリターン1年3年5年10年
BND-3.82%3.28%2.77%2.46%
BNDX-4.09%1.95%2.62%
BNDW-3.99%2.63%

1年リターンがマイナスになっていますが、長い目で見るとやはりローリスクローリターンとしての控えめな動きが伺えます。

BNDWは2018年設定とまだ日が浅いため、上の長期チャートからは外しましたが、表示可能な2018年で見てみるとこのようになります。

2018年9月以降の基準価額推移(TradingView

VTI/VXUSに対するVTと同様に、BNDWがBND/BNDXの間に挟まれるように推移していることがわかります。

また、この期間で見てみるとBNDが上にきているので、やはりチャートを見る場合には色々と期間を変えながら見ないと印象を取り違えてしまいそうですね。

構成比率(BNDX)

さてこちらはまたヨーロッパの比率が最も高くなっていることがわかりました。
それも、株式で約40-45%くらいだったところ、こちらでは55%を超える比率になっています。株式、不動産のいずれとも違った傾向ですね。

国別で見ると日本が1位になっていますが、不動産がアジア圏中心だったことに対して、債券は先進国中心になっていることがわかります。

しかし国別をよく見ると「除く米国」のはずなのにUnited Statesが10位(3.2%)で見えるのはなぜ…?

組み入れ上位銘柄

債券のことを組み入れ銘柄、で表現するのはやや違和感ありますが、こちらも組み入れ上位を見てみます。

BNDXBND
銘柄名利率満期組入比率銘柄名利率満期組入比率
1French Republic Government Bond OAT(FRTR)0.00%20270.96%Federal National Mortgage Assn.(—)2.00%20522.97%
2French Republic Government Bond OAT(FRTR)0.00%20240.88%Federal National Mortgage Assn.(—)2.50%20522.23%
3Spain Government Bond(SPGB)0.00%20240.72%Federal National Mortgage Assn.(—)3.00%20521.52%
4Bundesschatzanweisungen(BKO)0.00%20230.70%Federal National Mortgage Assn.(—)3.50%20511.01%
5Italy Buoni Poliennali Del Tesoro(BTPS)1.65%20300.66%Government National Mortgage Assn.(—)3.00%20510.95%
6United Kingdom Gilt(UKT)0.13%20240.61%Government National Mortgage Assn.(—)2.00%20510.87%
7Italy Buoni Poliennali Del Tesoro(BTPS)1.85%20250.58%Government National Mortgage Assn.(—)2.50%20510.82%
8Italy Buoni Poliennali Del Tesoro(BTPS)0.00%20240.54%Federal National Mortgage Assn.(—)4.00%20510.76%
9Italy Buoni Poliennali Del Tesoro(BTPS)0.25%20280.49%Government National Mortgage Assn.(—)3.50%20510.73%
10Spain Government Bond(SPGB)0.00%20260.40%Federal National Mortgage Assn.(—)1.50%20510.71%
65076.54%1016112.57%

BNDXの組み入れトップ10を合計しても6.54%に留まるあたり、かなり分散性が高いことがわかります。

したがって、あまり上位を具体的な名前で見たからと言ってどうなるというものではないですが、BNDとの対比で特に述べるならば、比較的短期の債券で上位が占められているのが気になりました。

債券は詳しくないのでこれがどういうことなのか理解できていませんが、興味深い対比です。

まとめ

今回は人気のあるバンガードの米国ETFに対して設定されている、世界版ETFに着目して色々調べてみました。

リーマンショック以降、他の追随を許さないレベルで米国株が好調な10年を歩んでおり、それもあって米国株に関する情報が非常に多く聞かれるようになりました。
一方で、それはまた「米国集中投資」を生みやすい土壌でもあるため、長期的なリスク分散を考える面では「除く米国」の領域にも目を向けてみるといいのかもしれません。

もちろん、これらの世界版ETFは米国在住/ドル資産を主軸とする米国ユーザを意識して設計されたツールだと思われるため、日本人の私たちにとっては「除く日本」のツールの使い方を考えるべき側面もありそうです。
そうした指数としては、日本でも「MSCI ACWI Ex Japan」とか「MSCI World Ex Japan(MSCIコクサイ)」など意外と古くから存在しており、対応するETFや投資信託がありますので、次はそうしたものも調べてみたいと思います。

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