今年も投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Yearの季節がやってきました。
今年はすっかりブログ投稿が減ってしまいましたが、投票エントリー&定点観測として今年の投信界隈を振り返ってみたいと思います。
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投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2022
知っている人にはおなじみですが、イベントの宣伝を兼ねてイベント概要をおさらいします。
「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」とは?
投資信託について一般投資家の目線でつねに考え、情報を集め、ブログを書いている投信ブロガーたち。投資信託の事情通である彼ら彼女らが支持する投資信託はどれか?
投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2022 より
証券会社の宣伝やうたい文句にまどわされず、自分たちにとって本当によいと思える投資信託を投信ブロガーたちが投票で選び、それを広めることで「自分たちの手でよりよい投資環境を作っていこう!」というイベントです。
2007年の第1回から数えて今年で16回目となります。僕が初めてエントリーしたのは2020年なので、FoYとしては今年で3年生になりました。
FoY2022の注目ポイント
今年の注目は以下のところで、
今回、ブロガーだけでなくより幅広い個人投資家に参加していただこうという主旨で「投資YouTuberが選ぶ! Fund of the Year 2022(β)」と「#TwitterFundOfTheYear2022(β)」を試験的に同時開催します。
投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2022 より
イベント主旨として、「投信ブロガーによる投票」というのは大事にされていた部分ではありますが、2007年当初に比べれば、一般人から見た情報メディアのトレンドも大きく様変わりしています。
とはいえ、同じ条件で見たときの連続性にも価値があるところなので、試験的に別部門として投信Youtuberと投信ツイッタラーを開催することになったようです。
なお、同一人物による複数部門投票は禁止なので明確に分母の異なる部門構成となるようです。
果たして投信ブロガー部門と同じ結果になるのか、はたまた少し違った毛色になるのか、楽しみです。
昨年のFoY振り返り
昨年のFoY2021に関しては表彰式の視聴レポートで書いていますので、そちらを参照ください。
結果としてはこの通り、三菱UFJ国際投信のSlimオールカントリー、通称オルカンが3年連続の1位に輝きました。
同一ファンドで3連覇したのは2014-2016におけるニッセイ外国株式インデックスファンドだけでしたので、今年は初の4連覇がかかった年ということになります。
ここ1年の投資信託
投票にあたって、今年新しく設定された投資信託に目を向けてみましょう。
また例によって投資信託協会の新規設定データを眺めてみます。
こちらの2021年11月~2022年10月のデータを見てみると、この1年間で262本の投資信託が新規設定されたようです。
この1年はTwitterもそこそこにしか見ていなかったのですが、その上で目にしたことがあったファンドはこのあたりでした。
- SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド(SBI証券)
- PayPay投信 米国株式インデックス(PayPayアセットマネジメント)
- SOMPO123 先進国株式(SOMPOアセットマネジメント)
- Tracers グローバル2倍株(地球コンプリート)(日興アセットマネジメント)
SOMPO123含め、最近は信託報酬0.1%はもちろん、それ未満のファンドもそこまで珍しくなくなってきました。
とはいえ、262本のうち信託報酬0.2%未満で設定された投資信託は66本に留まるようでしたので、まだまだテーマ型といった多くのアクティブファンドで高コストを取るものは多くあるようです。
もっとも最近の話題:配当貴族インデックス
最も最近目にしたものといえば、
でしょうか。
シャープレシオだけ見ているとインデックスファンドが良い選択肢だとしても、何だかんだ高配当株式の人気は根強く残っています。そうした高配当人気がある中で、円建てで投資するのが難しかった配当貴族インデックスの投資信託が設定されたことが話題になっていました。
目論見書を見る限りは「分配方針に基づいて年1回分配」とありますが、どうなるんでしょうね。
新シリーズの設定による商品刷新
もう1つ、話題というほどではないですが三井住友トラスト・アセットマネジメント(三井住友TAM)のMy SMTシリーズの名前を見て思い出しました。
「業界最低コスト」と聞くと聞こえはいいですが、三井住友TAMとしては現行でi-SMTというインデックスファンドシリーズを持っていますし、もっと言えばより高コストなSMTシリーズもあります。
流れとしてはよくある「信託報酬引き下げは色々と面倒なので放置して新しいものを作る」ということなんですが、今やニッセイなしなしやeMAXIS Slimシリーズが同じファンドのまま低コスト化していく様を見せているので、さすがにどうなの?という気持ちが拭えません。このことは投信ブロガーとして有名なカン・チュンドさんもブログ記事で言及していました。
こんなことをしていると
ファンドを管理するコストの無駄、人的労力のムダ、資源そのもののむだ遣いです。
一方、ファンドの中身はまったく同じなのに、
3つも4つも5つもある
先進国株式インデックスファンドの継続コストが「ばらばら」というのも(また)おかしな話。
いわゆる『一物多価の問題』です。
そういう受け止めもあってなのか、新しいMy SMTシリーズと重複する現行のi-SMTの4本については信託報酬の引き下げ&My SMTへの名称変更という形で落ち着いたようです。
とはいえ、当初の発表からするとややおかしな推移をしていたので、元々は放置しようとしてたのかなーと勘ぐってしまいます。このあたりの流れはなまずんさんの記事がよくまとまっていました。
結果的には「i-SMTシリーズ」の信託報酬を業界最低水準まで引き下げた形になりました。しかし、最初は「i-SMTシリーズ」を見切ろうとした意図があったようにも見えます。そのまま引き下げるよりも印象が悪くなったのは私だけではないと思います。
まさにこの感想含め、全く同感な流れでした。
さて今年の投票先は…
さて最後に今年の投票先を考えてみましょう。
投票にあたって考えることは原則変わりませんが、少し考え方を追加してみました。
- 長く付き合い続けられる投資信託
- 投資家にとって良い姿勢・活動を続けている会社の投資信託<New>
昨年までは合計5ポイントをもって最大5つのファンドへポイントを振り分ける方式をとっていました。
しかし今年は1位3ポイント、2位2ポイント、3位1ポイントの方式になっていましたので、少し考えてみます。
「長く付き合い続けられる」とは?
2020も2021も、投票先を選ぶにあたって考えたことは「長く付き合い続けられる」という観点です。
個人的な好みとして、新規設定される話題性に富んだファンドよりは、地道ながらも王道を歩んでいるような、そんなファンドを選んできました。
加えて、最新の状況だけで良し悪しを決めるのではなく、そのファンドを提供する会社の姿勢や活動への印象を強く意識しています。
分かりやすいのはニッセイなしなしシリーズを提供するニッセイAMで、当時は珍しかった「設定済みファンドの低コスト化」を断行した会社だということです。
ニッセイなしなしシリーズは商品として素晴らしいこともありますが、あの信託報酬の引き下げは日本のインデックスファンド業界におけるエポックメイキングな出来事で、あれがあってこその今の恵まれた投資環境があるものと思っています。
そうしたことを思うに、「自分たちの手でよりよい投資環境を作っていこう!」というFoYにおいては、そうした良いことを行った会社や商品のことをしっかりと覚え、ユーザの声として応えていく必要があると思っています。
今年はどこに投票するか
そうしたことを念頭に、今年の投票ルールを思うと、順位加重がついたことで、1位にはよりポイントが集まり、従来下位にいたところには相対的にポイントが集まりづらくなっているものと思います。
とはいえ、今話題ではないからといって投票しないでいると、「長期的に良いと思ってやったのに、結局は短期的な話題性で人気が決まってしまう」ということにもなり、各会社が短期目線での商品設計を進める(進めざるを得ない)要因にもなってしまいます。
従って、「良いことをした」というのはしっかりユーザが記憶しておき、こうしたイベントで長期的に下支えしていきながら一緒に歩んでいかないと、本当の意味で良い長期投資ができなくなってしまうと感じます。
というわけなので、短期的な話題性とか革新性で投票していたファンドもありましたが、今年は最大3つまでしか投票できないので、そういった恩義を感じられる会社のファンドに票を投じていきたいと思います。
まとめ
今年も3回目となる投票を終えることができました。
今年は昨年にも増してブログ活動が低調なのですが、投資自体は長期的に続けていくつもりなので、このイベントへの投票だけは欠かさずという気持ちでやっていきたいと思っています。
FoY2022の投票は今月末まで、表彰式は昨年と同じようなタイミングで2023年1月21日(土) 20:00~を予定しているようです。形式は今回もオンラインになるようなので、視聴チケットを買って全国どこからでも視聴ができます。
結果は大体こうかな~と思える部分もありますが、今年も楽しみにしていきたいと思います。